2023 Fiscal Year Research-status Report
光ヘテロダインによる高確度テラヘルツ光スペクトル制御システム
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23K04621
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
林 伸一郎 国立研究開発法人情報通信研究機構, テラヘルツ研究センター, 主任研究員 (70360188)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関根 徳彦 国立研究開発法人情報通信研究機構, テラヘルツ研究センター, 室長 (10361643)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 非線形光学 / パラメトリック波長変換 / テラヘルツ光 |
Outline of Annual Research Achievements |
非線形光学結晶による波長変換を利用した高確度・広帯域テラヘルツ光発生/計測に関する研究を行った。高確度な基準光発生の励起光として,Nd:YAG結晶によるレーザー光発生および増幅システム(Nd:YAG MOPA)の高輝度化を行った。励起に用いた半導体レーザー駆動電流制御や励起時間,同期タイミング等の最適化を進め,単一縦モード発振かつ最大エネルギー25 mJ/pulse以上(ピーク出力40 MW以上)の出力を達成した。この高輝度励起光を基に,基準信号光注入による周波数安定化基準光発生(is-PPLN-OPG),光増幅器(is-KTA-OPA)からなる周波数安定化高輝度基準光源を構築し,通信波長帯への波長変換を行い,エネルギー変換効率約20 %が得られた。テラヘルツ光周波数を決める波長可変光源として外部共振器型半導体レーザーおよびファイバー光増幅器(ECDL + amplifier)を用意し,一酸化炭素ガスセルおよび幾何学的位相を用いた光学共振器(spectral drill cavity)を導入することによって,任意周波数における高確度周波数モニターを実現した。共振器ミラーの反射率が75 %,共振器長が30 cmのとき,透過光強度計測により数MHz程度の精度で光周波数の計測が可能である。このとき,透過光強度変化信号をレーザー光周波数制御システムに帰還して制御を行うことによって,光の周波数計測および制御を介してテラヘルツ光周波数計測および制御が高確度に実現可能になる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
テラヘルツ帯高確度スペクトル計測実現のため,励起光として外部信号と同期できるアクティブQスイッチ方式によるNd:YAGレーザーを起点としている。この方式は,計測時に必須の外部信号との同期が可能であるが,従来のパッシブQスイッチ方式に比べ得られるエネルギーが小さく,高輝度化が困難であった。当該年度の研究により,光増幅システムの最適化を進め,最終的に従来方式と同等のエネルギーが得られるようになり,本課題に十分な高輝度化が実現した。かつ,非線形光学結晶を用いた光通信波長帯への高効率な波長変換を実現し,高輝度な通信波長帯レーザー光を基準光として用いる基礎実験を行った。さらに,気体ガスセルおよび幾何学的位相を用いた光学共振器により,任意の周波数における高精度計測が可能になったことから,高確度かつ広帯域なテラヘルツ帯スペクトル計測の実現に近づいていると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
高輝度化した励起光源および任意の周波数における周波数計測可能な光注入光源を用い,テラヘルツ光パラメトリック波長変換を行う。マイクロ波領域におけるネットワークアナライザーのスペクトラムアナライザー計測と同様に,基準信号光を共有しながらテラヘルツ光の発生および検出をパラメトリック波長変換により実現し,テラヘルツ帯スペクトル取得を目指す。
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Causes of Carryover |
研究結果を考慮した購入品選定に時間を要したため。次年度に調達する予定である。
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