2023 Fiscal Year Research-status Report
導波路型塩素含有シンチレータによる高性能かつ小型軽量な高速中性子カメラの開発
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23K04634
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Research Institution | National Institute of Technology, Toyama College |
Principal Investigator |
高田 英治 富山高等専門学校, その他部局等, 教授 (00270885)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鎌田 圭 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 准教授 (60639649)
島添 健次 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (70589340)
小川 国大 核融合科学研究所, 研究部, 准教授 (90632274)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 高速中性子カメラ / 35Cl / 核反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
高速中性子カメラに適したシンチレータ材料を選定するため、Ce含有LaCl3を合成して中性子、γ線照射時の特性評価を行った。実験は252Cf中性子源および加速器中性子源(大阪大学OKTAVIAN装置)を用いて行った。その結果、Ce濃度が1%程度の場合に35Cl(n, α)反応およびγ線による電子生成について、PSD値(検出器での生成パルスについて立ち上がり部分および全パルスの積分値から計算される指標)によって弁別が可能であることを確認した。従来の論文報告とはPSD値の分布がやや異なっているが、γ線起因と考えられる分布とは異なる位置に分布していることを確認した。Ce含有量が0%の場合でも弁別自体は可能と見込まれるが、信号パルスが非常に遅いことから、1%のサンプルを中心に検討することとした。 今後、測定されたイベントから35Cl(n, α)反応によるものを抽出し、高速中性子カメラへの適用を試みる予定である。具体的には、初段の高速中性子を散乱するシンチレータ(プラスチックシンチレータまたはスチルベン)およびLaCl3におけるエネルギー付与量から高速中性子の散乱角度を求め、散乱コーンを描画することでその重なりから線源位置を推定する。 一方で、LaCl3による信号は、Ce含有量が3%の場合でも時定数がμsオーダーと大きく、高計数率領域への適用性は低いことも予想される。今後はLaCl3以外の材料についても検討する予定である。また、シンチレータの導波路構造化についても取り組み、その効果を検証するように進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
シンチレータ合成に時間を要したこと、および生成されたシンチレータの時間応答が遅いことなどから、使用するシンチレータの確定に時間を要している。そのため、予定よりはやや遅れていると認識している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究分担者と協力し、できるだけ早く使用するシンチレータ材料を確定するよう、合成・評価を行う予定である。シンチレータ材料確定後に導波路形状のシンチレータを合成し、導波路型とすることによるバックグランド低減効果などを評価する。さらに、並行して高速中性子カメラとして動作させるためのソフトウェア開発を行い、ADCから得られた信号から高速中性子の入射方向を予測するシステムの構築を進める。
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Causes of Carryover |
本年度の実験によりLaCl3からの信号のPSF値を用いることで高速中性子による核反応とγ線による電子生成の弁別が可能であることが示されたが、時定数が大きいことなどから、今後さらにシンチレータ材料について検討することが必要と見込まれる。そこで、次年度以降にも材料検討を行うために次年度使用額を確保した。
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