2023 Fiscal Year Research-status Report
Solvent extraction simulation of radioactive elements based on computational chemical analyses
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23K04636
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
金子 政志 大阪大学, 大学院理学研究科, 講師 (50781697)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 密度汎関数法 / 金属分離シミュレーション / 錯体化学 / 元素分離 / 溶媒抽出 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、放射性元素の分離シミュレーション構築のための環境整備を行うとともに、溶媒抽出により得られるユウロピウムの分配比のマスキングの効果を、計算化学シミュレーションにより再現した。 まず、環境整備として高精度相対論効果及び電子相関を考慮可能な計算プログラムの導入を行った。前者では、TURBOMOLE, ADF, DIRACによる二成分相対論を考慮した錯体の密度汎関数計算の実行可能性を確認した。後者では、ORCAによるスカラー相対論レベルでのpost Hartree-Fock計算を検討し、アクチノイドイオンのCASCI及びNEVPT2法について計算可能であることを確認した。さらに、溶媒抽出分離における溶液のシミュレーションをより詳細に検討するため、Quantum Espressoによる第一原理計算やLAMMPSによる分子動力学計算、COSMOconfによる配座探索計算も導入した。 続いて、スカラー相対論レベルの密度汎関数法を用いて、ユウロピウムのEDTA系キレート剤によるマスキング効果について検討した。Eu錯体の錯生成定数予測式を取得し、EDTA, EDTAビスアミド, EDTAテトラアミドの三種類の錯体のモデリングを行い、錯生成定数を予測した。その結果を用いて、化学平衡計算により分配比の抽出剤濃度及びpH依存性をシミュレーションした結果、実験値の傾向を良く再現した。今後は、本手法をアクチノイドや白金族元素に展開して、放射性元素の分離シミュレーション開発を行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は、主に元素分離シミュレーションを行うための環境構築について検討し、相対論、電子相関、溶液シミュレーションについて高度に考慮するためのプログラムを導入した。また、ユウロピウムのマスキング効果についても計算化学シミュレーションにより検討することができ、おおむね順調に進展している。と判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、2023年度に導入した計算手法を用いて、希土類元素・白金族元素・アクチノイド元素の錯体モデリングを行い、溶媒抽出分離シミュレーションに向け展開していく。
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Causes of Carryover |
2023年度において、当初の計画よりも安価に調達できたことや、オンラインでの会議出席による旅費削減のため。次年度助成金と合わせ、消耗品費及び旅費として使用する。
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