2023 Fiscal Year Research-status Report
Development of MoOx- silicon heterojunction solar cells prepared by solution process
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23K04645
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
渡邊 良祐 弘前大学, 理工学研究科, 准教授 (70557735)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | シリコンヘテロ接合太陽電池 / 酸化モリブデン / ゾルゲル法 / 仕事関数 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、良好な電気的特性を持つ酸化モリブデン(MoO3-x)膜をウェットプロセスにて作製し、MoO3-x膜を用いたヘテロ接合型シリコン(Si)太陽電池を作製する。その際、MoO3-x膜の電気的特性の向上と光電変換効率の改善を目標とする。MoO3-xの正孔輸送特性はMoO3-xの酸素欠損に由来し、ストイキオメトリであるMoO3の導電性は低いが、酸素欠損量の増大に伴い導電性が向上し、MoO2では高い導電性を持つ。MoO3-xは仕事関数が5eV程度と大きく、シリコンとのヘテロ接合界面でのバンド曲がりが生じることで、光励起キャリアが電荷分離し太陽電池として機能する。 今年度は、MoO3-xをスピンコートによりシリコン基板上に成膜したMoO3-x/Siヘテロ接合太陽電池の試作を試み、MoO3-xプリカーサ溶液のスピンコート後焼成温度、焼成時間の最適化を行った。試料焼成条件により変化したMoO3-x膜の半導体特性について、FT-IR測定、XRD測定、導電率測定により評価した。FT-IR測定結果からは、200℃10分焼成試料についてC-O結合由来のピークが見られ、MoO3-xプリカーサ溶液が分解途中であることが示唆された。また、300℃90分焼成試料からは、熱的に安定なα-MoO3結晶を構成するMo-O-Mo、Mo-O(3)に由来するピークが見られた。XRD測定からは、300℃90分焼成試料についてピークが見られMoO3-xが結晶化していること、また他の焼成条件ではアモルファスであることが示唆された。 ソーラーシミュレータによる明状態I-V測定より、、250℃30分焼成試料での変換効率が最も高く0.35%となり、その他の焼成条件である200℃10分、また300℃90分焼成試料では、変換効率が0.1%以下と著しく低下した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究計画にて検討予定の課題の一つであった、ゾルゲル法にて形成した酸化モリブデン膜の半導体特性を評価し、また酸化モリブデン/Siヘテロ接合太陽電池を作製し、光電変換特性を評価することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
作製した試料の光電変換特性、電気的特性評価を引き続き行う。ウェットプロセスで作製したMoO3-x膜への不純物元素ドープによる酸素欠損の導入を試み、膜の導電性向上と太陽電池の光電変換効率向上を試みる。その際、仕事関数の大きさもまた酸素欠損量に依存し、酸素欠損量の増大とともに仕事関数は低下することが考えられ、太陽電池での電荷分離にとって不利に働くため、MoO3-x膜中の適切な酸素欠損量と導電性・仕事関数の関係性を評価する。また、ECRスパッタ装置で作製したMoO3-x薄膜についても電気的特性評価を並行して行い、両手法で作製した薄膜の特性について比較検討を行う。
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Research Products
(5 results)