2023 Fiscal Year Research-status Report
拡張マレイミドの構築を鍵とする新規機能性π共役化合物の創造
Project/Area Number |
23K04713
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
宮崎 隆聡 福岡大学, 理学部, 助教 (70788504)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 芳香族イミド / 構造有機化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
縮合反応と光環化反応によって構築可能な芳香族イミドである「拡張マレイミド」は分子設計の自由度が高いことから、新規機能性π共役化合物を創造するにあたり、有望な化合物群である。本研究は種々の拡張マレイミドを設計、合成し、その構造や電子状態を明らかとすることで、拡張マレイミドを基盤とした新規機能性π共役化合物を創造することを目的としている。2023年度はチオフェン環とピリジン環によって構築される拡張マレイミドの合成とその光物性を明らかとすることを目指し、研究を展開した。チオフェン環の持つ反応性は構築した拡張マレイミドに種々のアリール基や官能基等の導入を容易とし、拡張マレイミドの電子状態の調整を可能とする。また、ピリジン環は塩基性窒素を持つことから、プロトンやルイス酸への応答性を拡張マレイミドに付与することができ、さらなる機能拡張に寄与する。まず、チオフェン環とピリジン環からなる拡張マレイミドを縮合反応と光反応によって合成することに成功した。そしてアルコキシフェニル基やジメチルアミノフェニル基をチオフェン上に鈴木カップリングによって導入した。これによって得られた化合物は溶媒によって蛍光波長が変わる蛍光ソルバトクロミズム特性を示した。さらに、トリフルオロ酢酸といったプロトン源を得られた化合物のジクロロメタン溶液に滴下すると、吸収スペクトルの波形が変化し、プロトン応答性を示すことを明らかとした。この成果を発展させ、さらにπ電子系を拡張させた拡張マレイミドの合成に取り掛かっており、縮合反応による基本骨格の形成まで成功している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
縮合反応と光反応によって構築される拡張マレイミドのさらなる機能拡大を可能とするため、チオフェン環とピリジン環による拡張マレイミドの合成に成功するとともに、チオフェン環状に種々のアリール基をカップリング反応によって導入することができた。さらに、ピリジン環の塩基性を利用したプロトン応答性も観測することができた。この成果によって、チオフェン環とピリジン環を利用した拡張マレイミドの有用性が明らかとなり、大きな計画変更を必要とせずに、これを基盤とした新たな分子構築の検討を行うことができる。これらの理由より、本研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の方針として、種々の方法を用いて、チオフェン環とピリジン環からなる拡張マレイミドのπ電子系の拡張を目指して研究を展開する。本研究での拡張マレイミド骨格を構築する鍵となる合成のひとつである縮合反応を行うための化合物群が必要である。その縮合反応に必要な化合物群を系統的に合成する手法を最適化することができたならば、より多彩な拡張マレイミドを創造することが可能となる。そこで、縮合反応に利用可能な化合物群を効率的に合成可能な合成手法の確立と縮合反応の最適化、そして続く光反応の汎用的な合成条件の最適化を行う。これを達成することができたならば、よりπ電子系を拡張させた拡張マレイミドの創造を可能とすると期待できる。
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Causes of Carryover |
試薬や有機溶媒、実験器具等の消耗品費が予定よりも少ない額で済んだため。使用計画としては、次年度の合成実験に必要な試薬等の消耗品費として使用する。
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