2023 Fiscal Year Research-status Report
Development of highly emissive fluorescent materials responsive to external stimuli and external environment
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23K04718
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
前多 肇 金沢大学, 物質化学系, 教授 (40295720)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 蛍光 / 分子内電荷移動 / エキシマー / ピレン / ピレノファン / フェナントレン / クラウンエーテル / カプセル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
外部刺激や外部環境に応答する強発光性蛍光物質の開発を目指して研究を行い、以下の成果を得た。 (1) 4位と5位をメチレン鎖で架橋したピレノファン((4,5)ピレノファン)を合成した。立体配座はピレン同士が離れたアンチ体に大きく片寄っており、蛍光スペクトルではピレンのモノマー発光のみを示した。その9,10位にクラウンエーテル部位を導入し、溶液に過塩素酸バリウムを添加したところ、蛍光極大が長波長シフトした。架橋鎖としてオリゴエチレングリコール鎖を用いて三量体を合成したところ、その蛍光スペクトルではモノマー発光とともに447nmを極大とする分子内エキシマー発光が観測された。その溶液に過塩素酸ナトリウムを添加すると、分子内エキシマ―発光の強度が大きく減少した。これは、ナトリウムイオンを捕捉することでエキシマー形成が阻害されたためであると考えられる。 (2) フェナントレンと12, 15, 18員環のベンゾクラウンエーテルをアルキンで連結した分子を合成した。そのアセトニトリル溶液にMg2+, Pb2+, Ba2+イオンを添加すると、蛍光強度の減少および短波長化が顕著に見られた。金属イオン非存在下ではICT(分子内電荷移動)による吸収および蛍光の長波長シフトが観測されるのに対し、金属イオンを加えるとその正電荷によってICTが発生せず、吸収および蛍光が短波長シフトするとともに、分子内電子移動により蛍光強度が減少するものと考えられる。 (3) ピレン環を2本のアルキル鎖でカプセル化した化合物群を合成したところ、無置換のピレンに比べて溶液中の蛍光量子収率が増大し、固体蛍光が短波長シフトすることが分かった。これは、カプセル化により凝集が抑制され、近傍分子への励起エネルギー移動が起こりにくくなっているためであると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究において、オリゴエチレングリコール鎖を用いて架橋した(4,5)ピレノファン(三量体)が強い蛍光を示し、ナトリウムイオンを検知することで蛍光色が変わる蛍光センサー分子として働くことを見出した。また、フェナントレンとベンゾクラウンエーテルをアルキンで連結した分子は、マグネシウム、鉛、バリウムイオンを検出するturn-OFF型の蛍光センサー分子として有用であることを示すことができた。ピレン環を2本のアルキル鎖でカプセル化した化合物は凝集が抑制され、蛍光強度が増大することも明らかにした。外部刺激や外部環境に応答する強発光性蛍光物質の分子設計指針や合成手法はほぼ確立することができたため、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続き、蛍光量子収率を向上させる分子設計指針の探索を続けるとともに、光反応や立体配座の変化を用いた可逆的な反応系の開発を行う。また、金属イオンのみならず、アンモニウムイオン、アニオン、求核剤、溶媒の極性、機械的刺激を認識する分子の開発をそれぞれ行う。これらの成果を踏まえ、学術的にも価値が高く、工業的にもこれまでにない優れた高機能性蛍光材料の提供を図る。
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Causes of Carryover |
(理由)当初の予定よりも物品費を節約することができたため。 (使用計画)翌年度分として請求した助成金と合わせ、物品費、旅費、その他費として使用する計画である。
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