2023 Fiscal Year Research-status Report
静電ポテンシャル駆動型アクティブラーニングによる高屈折率分子の高速探索
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23K04726
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Research Institution | Osaka Research Institute of Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
松元 深 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 森之宮センター, 主任研究員 (50416301)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | アクティブラーニング / 静電ポテンシャル |
Outline of Annual Research Achievements |
従来の限界を超える屈折率を示す有機材料を探索するため、本研究では分子の静電ポテンシャルマップを指標とした能動的機械学習による自動探索法の開発を行う。本年度はシミュレーションによる屈折率の計算精度の向上、静電ポテンシャルマップを用いた機械学習による屈折率の予測モデル作成を行った。屈折率は、量子化学計算による分子分極率と、分子動力学法による凝集体密度の予測値から計算した。文献から取得した48分子の分極率の実験値との偏差について、種々の計算条件により評価したところ、分極率が高い領域で過大評価される傾向があることが分かった。そのため、二次関数を用いた補正を行い、実験値と整合性の高い計算結果を得た。密度に関しては全体的に予測精度は高いものの、一部アルコール系分子などで偏差が大きい結果となった。これは実施したシミュレーションでは水素結合による寄与を考慮できていないためであり、更に予測精度を高めるためには力場の再検討が必要である。これらの最適化により、実験値に対し相関係数0.98の高精度な屈折率の計算が可能となった。 自動分子生成プログラムにより生成した分子構造に対し、簡易な屈折率計算を行い、600分子のデータを得た。この内200件を用いて機械学習を実施した。ESP-Sim(https://github.com/hesther/espsim)の計算アルゴリズムを基に、静電ポテンシャルマップの類似性を評価するカーネル関数を実装し、ガウス過程回帰による予測モデルを作成した。テストデータを用いた評価では、シミュレーションによる計算値と学習による予測値に相関が確認され、静電ポテンシャルの機械学習による物性予測が可能であることが示唆された。一方でその誤差は想定より大きく、予測精度の向上が今後の課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
分子の静電ポテンシャルマップの類似性を評価するカーネル関数を実装し、ガウス過程回帰による屈折率の予測モデル作成を達成したが、予測精度や計算速度に課題があることが分かった。このため、予測に基づく能動的分子選択法の構築にまでは至らなかった。一方で屈折率の理論計算法について詳細に検討を行い、補正による予測の精度向上に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
現在のところ、分子の静電ポテンシャルの類似性評価関数の実装を行い、機械学習による屈折率予測が可能であることを確認しているが、予測精度と計算効率に課題がある。予測精度の向上に関しては、類似性を比較する際の、分子の整列方法について検討することが必要である。現状での方法では、同じ二種の分子間の整列の場合でも、基準をどちらにするかによって結果が異なり、再現性のある類似性評価が行えていない可能性がある。この検討に加え、形状の類似性を評価に加えたカーネル関数を構築することも検討する。計算速度に関しては、GPUでの並列計算を想定した開発を行っているところであるが、現在外部ライブラリに依存している計算部分を行列計算に適したプログラムに再構築する必要がある。これらを本年度導入した計算機上で実装し、自動分子探索システムを構築していく予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は高性能計算機を調達したが、入札により予定を大きく下回ったことで次年度使用額が生じた。当該助成金の使途については、新規計算機における計算効率を評価した後、量子化学計算能力増強のための並列計算機の追加、あるいは機械学習における倍精度浮動小数計算性能の高いGPUの導入を計画している。
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