2023 Fiscal Year Research-status Report
Developement of sequential carbon-carbon bond-forming methods by reactivity control of C1 carbenoid species
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23K04744
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
岡本 和紘 北海道大学, 理学研究院, 特任講師 (30552658)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永木 愛一郎 北海道大学, 理学研究院, 教授 (80452275)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | carbenoid |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では入手容易なC1原料であるマルチハロメタン類(CHnX4-n)を原料として,一般に選択的反応に用いることが難しい有機ナトリウム・カリウム試薬から発生する金属カルベノイド種を「超高活性有機金属化学種」と位置づけ,最終的に「逐次的反応による多段階結合形成」を可能にする方法論の確立を目指して研究を行った.そのような目標の実現に向けた第一歩として,最も単純な反応である活性種の重水素化クエンチを含む,C1カルベノイド種の選択的同位体標識にまず取り組むことで,このような活性種の制御の実証研究とした.ひとたびこの反応制御を実現できれば,ボロン酸エステルを求電子剤とするマルチホモロゲーションプロセスへの展開は容易になるため,研究期間内で多段階炭素鎖形成を達成可能となる.ホウ素をプラットフォームとする新たなC1カルベノイド化学の可能性を模索し、ジハロメタンのようなC1炭素源を有機リチウム化合物と反応させることで発生する活性中間体を経由する反応の最適化を行った。この可能性を最大限効率化するため、フローデバイス制御下での精密な温度-滞留時間マッピング手法を用いて活性種の安定性と反応性を同時に可視化することに成功した。本反応は活性種の発生と分解がわずかな時間で拮抗するため、分解の抑制(マップ赤色)と高反応収率(マップ青色)を同時に達成することは極めて限られた温度と時間の範囲でしか実現できない。フローデバイスではこれらの困難を克服し、バッチでは達成不可能な活性種を後続の求電子剤との反応へと適用することが可能になった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の計画を概ね完了したため。
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Strategy for Future Research Activity |
シーケンス型フロー反応装置を利用して,ボロン酸エステルを開始剤とする逐次的増炭反応(ホモロゲーション)により,数炭素分を一度に増炭したマルチハロゲン化アルキルボロン酸エステルのシーケンス合成に取り組む.ポリマーの副生を逆手にとって,上述の副生成物となるボロン酸エステルのポリホモロゲーションを進行させ,反応条件の時空間制御を用いて分子量分布の制御に取り組む.これにより,ハロゲン含有ポリマー合成する新しいリビングポリホモロゲーションプロセスを実現する.
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Causes of Carryover |
当初予定で使用する予定だった試薬や消耗品等を既存のプロジェクトで使用していた部分と共用することで節約できたため、物価高等に備えて次年度の試薬や消耗品等の購入予算として充てるため
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