2023 Fiscal Year Research-status Report
基質設計と反応開発を基軸とした縮環式複素芳香族化合物の置換位置選択的合成法の確立
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23K04746
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
近藤 梓 東北大学, 理学研究科, 准教授 (30645544)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 複素環合成 / 分子内環化 / 有機合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
高度に官能基化された多置換の縮環式複素芳香族化合物の置換位置選択的合成法を確立することを目的として、独自に開拓した複素芳香環構築の方法論に基づいて新たな芳香環構築法の開発に取り組んだ。具体的には、フラン環とチオフェン環が縮環したチエノ[3,2-b]フランの合成法の開発に取り組んだ。まず、これまでに独自に確立した三置換3-ヨードフラン合成法を応用することで、2-アルキニル-3-ベンジルチオフランの合成法を確立した。さらにこの化合物を基質とし、ブレンステッド塩基を用いた分子内環化反応を開発することで、一般性の高い合成法がほとんど確立されていない四置換チエノ[3,2-b]フランの合成法を開発することに成功した。この合成法を用いれば、多様な置換基が望みの位置に導入されたチエノ[3,2-b]フランを簡便に合成することが可能である。また、この合成法を応用することで、さらに合成例が少ないフラン環とセレノフェン環が縮環下セレノ[3,2-b]フランを合成できることも明らかにした。これらの成果は、物質供給を通して有機機能材料の開発研究への応用展開が期待される成果である。現在論文投稿に向けた準備を行っているところである。 一方、縮環式複素芳香族化合物の合成法としてこれまでに開発した分子内アンチカルボメタル化の拡充に取り組む中で、新たな骨格転位反応を見いだした。今後検討を進めることで、反応機構的にも新しい、画期的な骨格構築法の確立が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りに、まずは一つ目の縮環式複素芳香族化合物の合成法の開発を完了し、まもなく論文投稿する予定である。それに加えて、既に別の新たな縮環式複素芳香族化合物が得られることを予備的知見として得ている。さらに、この一連の研究を進める中で、反応機構的にも新しいと考えられる、興味深い骨格転位反応を見いだした。 これらのことから、今後のさらなる様々な展開が期待でき、進捗状況として「当初の計画以上に進呈している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画に基づいて、多様な縮環式複素芳香族化合物の合成法の確立を目指し、基質の設計と縮環骨格構築反応の開発を進める。また、これまでに得られた新たな縮環式複素芳香族化合物の物性評価にも取り組む。 さらに、新たに見いだした骨格転位反応について、反応条件の最適化、基質適用範囲の検討、反応機構解析に取り組み、新たな分子構築技術としての確立を目指す。
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