2023 Fiscal Year Research-status Report
大環状二核錯体を用いた新規可視光駆動型過酸化水素生成系の開発
Project/Area Number |
23K04770
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
中薗 孝志 大阪公立大学, 人工光合成研究センター, 特任講師 (40802880)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 過酸化水素 / 二核錯体 / 水の酸化 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在、地球温暖化や化石燃料の枯渇といった環境問題を背景に、太陽光のエネルギーを化学エネルギーに変換する水の可視光分解反応系の開発が期待されている。この反応は水の四電子酸化反応である酸素発生とプロトン還元による水素発生反応から成り立つ。酸素発生反応は、対となる水素発生反応進行の際に必要な電子とプロトンを得る極めて重要な反応であり、盛んに研究されている。しかし、得られる酸素自体にあまり意味はない。一方で水を二電子酸化すると過酸化水素が得られる。過酸化水素はそれ自体が有用な漂白剤、酸化剤など、多様な用途で利用されている。それだけでなく、将来の電池燃料として期待されている。そのため、水の可視光分解反応における水の四電子酸化を二電子酸化に置き換えた水の可視光分解系は、より有用な新しい人工光合成系となりうる。水の二電子酸化を促進する分子触媒としては、アルミニウムや亜鉛のポルフィリン錯体のみが知られている1。 本研究では水の二電子酸化の新たな触媒として、配位子に二重N-混乱ヘキサフィリン(DNCH)、中心金属に酸化還元不活性なルイス酸 (Ga3+、Zn2+) を持つ二核金属錯体M2DNCHに注目した。本研究では、[M2DNCH]の水の二電子酸化触媒活性について電気化学的に評価した。ディスク電極に触媒をキャスト法によって修飾し、pH 10の炭酸緩衝液中で回転リングディスク電極を用いて触媒活性を評価したところ、過酸化水素の生成に起因するリング電流の増加が確認できた。従ってこれらの錯体が水の二電子酸化触媒として機能することが明らかになった。しかしまだ反応選択性が低いため、反応のpHや触媒の担持方法を検討し、改善を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
[Zn2DNCH]および[Ga2DNCH]Cl2が水の二電子酸化反応による過酸化水素生成に対して触媒活性を持つことを明らかにした。また、両錯体の触媒活性の比較により、中心金属のルイス酸性が高いほど触媒活性が向上することが分かった。これをヒントに、今後は当初予定していた異種金属錯体の触媒活性の検討を行っていく予定である。また、これまでの研究では過酸化水素生成の反応選択性が低く、反応条件などの見直しが必要である。また、光化学的な水の酸化反応による過酸化水素生成はまだ実現できていないため、新たな光増感剤の合成も含めて検討する必要がある。反応条件検討がまだ完了していないため、反応機構の解析に関する実験はまだ行っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
回転リングディスク電極による[M2DNCH]の過酸化水素生成に対するファラデー効率が現状では低い。これは触媒の担持量や担持方法、溶媒のpHを最適化することでこの効率を向上させることができると考えている。また、触媒同士が重なると反応選択性に影響が出ることも予想される。そこで、触媒を単分子層で修飾する方法を導入することを検討している。また、反応条件を検討する。まず、過酸化水素が安定な酸性溶液中で反応を実施する予定である。生成した過酸化水素を回収する方法も検討していく予定である。さらに電極材料の変更も検討する予定である。
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Causes of Carryover |
触媒の活性評価と合成に注力したために反応機構解析をするには至らなかったため。
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