2023 Fiscal Year Research-status Report
環境水中の亜硝酸イオンおよび硝酸イオンの同時計測ペーパーデバイスの開発
Project/Area Number |
23K04830
|
Research Institution | Yonago National College of Technology |
Principal Investigator |
礒山 美華 米子工業高等専門学校, 総合工学科, 助教 (80966515)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金田 隆 岡山大学, 環境生命自然科学学域, 教授 (20243909)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | μPAD / PADs / Griess反応 / オンサイト分析 / 簡易分析法 / 亜硝酸イオン / 硝酸イオン |
Outline of Annual Research Achievements |
環境水中の亜硝酸イオンおよび硝酸イオンを現地で迅速に測定できる簡易計測法を目指して,紙を基板とした分析デバイスPADs (paper analytical devises)を作製した.亜硝酸イオンには発がん性,高濃度の亜硝酸イオン,硝酸イオンはメトヘモグロビン血症を引き起こすため,これらの環境への排出は厳しく規制されている.亜硝酸イオンは不安定であり,試料採取後の速やかな測定が望ましい. 開発したPADsはグリース反応を用いた比色反応によって亜硝酸イオンを検出するものである.硝酸イオンは亜鉛粉末を還元剤として亜硝酸イオンに変換することで検出した.ろ紙にワックスを塗布し,浸透させることで疎水部分をつくり,流路を作製した.PADsは試料導入部,亜鉛粉末が塗布された還元部,グリース試薬が塗布された検出部から構成されている.試料溶液が検出部に到達すると赤紫色が発現する仕組みとなっている.まずは,平面上に流路が拡がるPADsを作製して検出部の呈色を確認した.その結果,呈色を確認することができたが,グリース試薬が試料溶液に押し流されたことで濃淡が生じた.そこで,PADsを積層構造へ変更したことで均一に呈色させることができた.次に積層型PADsの層数,亜鉛,グリース試薬および試料の添加量を最適化し,検量線を作成した.試料が亜鉛層を通ずると,亜鉛を通さないときと比較して感度が低下した.また,硝酸イオンと亜硝酸イオンが溶液内に共存していると,検出される硝酸イオン量に影響を与えることが明らかになった.そこで,亜鉛を添加したPADsを用いた場合の硝酸イオン,亜硝酸イオンと添加しない場合の亜硝酸イオンの3つの検量線を作成し,補正しなければならないことを見出した.これらの検量線を使用することで,さまざまな濃度比の亜硝酸イオンと硝酸イオンを含む溶液でも,それぞれの濃度を決定できることを実証した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和5年度の計画としていたデバイスの設計,条件の最適化に関する検討は終了しており,計画通りに進んでいる。 硝酸イオン,亜硝酸イオンの濃度を3つの検量線を用いて補正することで算出可能であるが,亜硝酸イオンの還元効率を向上させ,さらに低濃度域の検出を実現するために検討を進める段階である。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和5年度には,実試料として汽水(中海),井戸水,池水を使用して硝酸イオン,亜硝酸イオンの測定を行った. 令和6年度も引き続き,汽水や井戸水等を用いて現場計測を行う。河川水や海水を追加し,干渉イオンの影響について確認する。 並行して硝酸イオンの還元効率の向上についても検討を進め,より高感度な検出を目指す。
|
Causes of Carryover |
確実に予算内で使用しなければならないと思っていたため,数千円残した. 翌年度,物品費として使用する.
|