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2023 Fiscal Year Research-status Report

表面欠陥準位を利用した非同期型光触媒反応による新奇物質変換

Research Project

Project/Area Number 23K04892
Research InstitutionKyushu Institute of Technology

Principal Investigator

村上 直也  九州工業大学, 大学院生命体工学研究科, 教授 (10452822)

Project Period (FY) 2023-04-01 – 2026-03-31
Keywords光触媒 / 蓄積電子 / 非同期型反応
Outline of Annual Research Achievements

これまで,研究代表者は半導体表面の欠陥サイトに蓄積した電子を活用し,電子蓄積反応と電子放出反応の2段階反応を行うことにより,酸化と還元のタイミングが時間的に分離された非同期型光触媒反応を行ってきた.しかし,この反応は蓄積電子量によって還元生成物の量が制限されるために,1サイクルでは十分な回収量が得られなかった.そこで,本研究では,【目的A】繰返しが可能な非同期型の反応系を構築するとともに,【目的B】この反応系に有効な新規材料の探索を行うことによって,目的物の回収量増大と反応の効率向上に取り組む.
今年度(R5年度)は,【目的A】繰返し可能な非同期型反応の確立を試みた.具体的には,極性の差によって水相と有機相が相分離することと,これらに対する溶解性・分散性の差を利用して,有機相/水相の二相反応系において非同期型の反応を行った.水相には,ドナーとしてグリセロールを溶解させ,試料には酸化チタン(IV)(TiO2)粒子を用い,表面が親水性であることを利用し,水相のみに分散させた.有機相にはトルエンを用い,アクセプタである難水溶性の芳香族ニトロ化合物を溶解させた.電子蓄積時は,溶液を弱攪拌し,水相/有機相を二相に分離させた状態で光照射を下方より行った(電子蓄積反応).電子蓄積後は,光照射を止め,強攪拌によって水相と有機相が混在した状態で,水相と有機相の界面で芳香族ニトロ化合物の還元を行った(電子放出反応).電子蓄積反応後と電子放出反応後に生成した反応生成物をガスクロマトグラフで分析を行ったところ,意図していた通り,電子放出反応後に,芳香族アミンの回収量増大が確認することができ,有機相/水相の二相反応系を用いた繰返し可能な非同期型反応を確立することができた.また,【目的B】TiO2以外の新規材料の探索においても,いくつかの候補材料を見つけることができた.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

当初の予定であった,(1)繰返し可能な非同期型反応系の構築および(2)TiO2にかわる候補材料の探索において,どちらも順調に実験結果が得られている.以上の理由により,現在までの進捗状況はおおむね順調に進展していると思われる.

Strategy for Future Research Activity

次年度(R6年度)は,【目的A】を達成するためのもう一つの取り組みとして,気相/液相からなる二相反応系を利用した反応系の構築を行う.具体的には,液相には,アルコールなどの揮発性ドナーと芳香族ニトロ化合物などのアクセプタを溶解させる.TiO2粒子を基板上に固定したものを試料として用い,反応セルの回転によって,TiO2の雰囲気(気相/液相)を物理的に切り替える.電子を蓄積させる際は,試料を気相(ドナー蒸気を含む)に暴露した状態で光照射を行う(電子蓄積反応).電子が蓄積した後は,光照射を止め,試料を液相に浸し,芳香族ニトロ化合物の還元を行う(電子放出反応).このとき,還元生成物である芳香族アミンは,主に液相に残存するために,2サイクル目以降の電子蓄積の際に,正孔によって酸化される恐れはない.上記のモデル反応(芳香族ニトロ化合物から芳香族アミンへの還元反応)の系が構築でき次第,他の還元反応にも展開する.また、初年度(R5年度)で探索したいくつかの候補材料のアドバンテージを示していく.

  • Research Products

    (4 results)

All 2024 2023

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (3 results)

  • [Journal Article] Cyclic time-separated redox reaction using accumulated electrons in titanium(<scp>iv</scp>) oxide in a two-phase system2024

    • Author(s)
      Suenaga Masato、Murakami Naoya
    • Journal Title

      Catalysis Science & Technology

      Volume: 14 Pages: 624~629

    • DOI

      10.1039/D3CY01645E

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 光音響効果を用いた光触媒材料の評価2023

    • Author(s)
      村上直也
    • Organizer
      第42回光がかかわる触媒化学シンポジウム
  • [Presentation] 可視光下におけるタングステン酸ビスマス光触媒の蓄積電子による還元反応2023

    • Author(s)
      出口遼太,村上直也
    • Organizer
      第42回光がかかわる触媒化学シンポジウム
  • [Presentation] 二酸化チタン中の蓄積電子を用いた水素生成2023

    • Author(s)
      出口遼太,村上直也
    • Organizer
      第60回化学関連支部合同九州大会

URL: 

Published: 2024-12-25  

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