2023 Fiscal Year Research-status Report
Bio-inspired design of aqueous batteries based on anion-transfer
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23K04910
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
中本 康介 東京理科大学, 研究推進機構総合研究院, プロジェクト研究員 (10804271)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 正人 九州大学, 先導物質化学研究所, 准教授 (20293037)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Keywords | アニオン / 有機活物質 / 水系電解液 |
Outline of Annual Research Achievements |
有機構造体活物質に適した電解液が、多彩なカチオン種を含む水系電解液(水溶液)であると考え、カチオンに比べて水和がほとんど無くストークス半径の小さい高輸率な裸のアニオンを電荷キャリアとして採用する事で、高出力(高レート特性)が見込める新奇水系アニオン移動型電池の創製を行う事を目標とした。 生体模倣を電解質設計の軸とし、種々の有機オスモライト(有機カチオンを含む溶質)を水に溶解させる事で水系電解液を作製し、飽和濃度(溶解度)やイオン伝導度、作製した水系電解液が安定に存在しうる電位窓に関して基礎的な知見を得た。また、これらの電解液を用いてビピリジン骨格を持つ多量体有機負極が、水系アニオン移動型電池用負極として可逆作動(充放電)可能である事を確認した。 ビピリジン骨格を有する多量体有機負極は、電解液の濃度が非常に小さい場合には可逆容量が取れない一方で、電解液の濃度を上昇させる事で可逆性が向上した。 高濃度ほど活物質の溶解性が小さくなる事に加え、高濃度での電位窓の拡大が可逆性の向上に寄与したと考えられる。 イオン伝導度が最大値を示す中濃度領域において、活物質を電池利用をすることができれば高い出力特性が見込まれるが、溶解性や電位窓、活物質の可逆性を考慮すると、必ずしも適切な電解液濃度は中濃度域ではないことが分かった。 また、有機正極に関しては、金属イオンと有機骨格を有する複数種の活物質を検討し、充放電可能であったものの、サイクル特性が十分では無かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
有機活物質の合成や、電解液の基礎物性、有機負極電池作動の面で概ね順調に進んでいる。一方、フルセルとして作動させるためには、有望な正極が必要であるが、サイクル特性の高い正極が現状探索できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
電解液の種類をさらに増大させる事により、すでに合成した正極のサイクル特性向上につなげる。また、正極の合成に関しても、水溶液に溶解しない分子量まで増大可能か検討する。
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Causes of Carryover |
オープンアクセス誌への掲載料負担が生じたため。
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