2023 Fiscal Year Research-status Report
水素やメタンを低温で検知可能な接触燃焼式センサ用触媒の開発とセンサ特性の高度化
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23K04911
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田村 真治 大阪大学, 大学院工学研究科, 准教授 (80379122)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 水素センサ / 接触燃焼式 / アパタイト型 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題研究では、クリーンエネルギーとして期待される水素やメタンを精度良く検知可能な接触燃焼式センサの開発を目指し、実用に供することが可能な新規触媒の開発ならびに触媒の形態制御によるセンサ特性の高度化を行う。 2023年度は低温でも水素検知を可能とする触媒材料開発を目指し、H2に対する燃焼活性を示すPtに助触媒としてアパタイト型希土類ケイ酸塩(Ln10Si6O27 (Ln = La, Pr, Nd, Sm, Eu, Gd))を組み合わせた。Ln10Si6O27 (Ln = La, Pr, Nd, Sm, Eu, Gd)を用いたセンサの中では、7wt%Pt/Eu10Si6O27を用いたセンサが室温において最も良好なH2検出特性を示すことがわかった。 より高活性なH2燃焼触媒の開発を目指し、Eu10Si6O27のSiサイトに他の金属イオンを部分置換した7wt%Pt/Eu10(Si0.95M0.05)6O27-δ (M = Mn, Fe, Co, Ni, Cu) を合成した結果、7wt%Pt/Eu10(Si0.90Mn0.10)6O27-δを用いたセンサが室温においてもH2濃度を定量的に検出可能であり、7wt%Pt/Eu10Si6O27を用いたセンサと比較して、高いセンサ出力値を示すことがわかった。これは、価数変化しやすいMn2+/3+/4+を添加することで助触媒の酸素放出特性が向上し、Ptに酸素が効率良く供給され、高価数のPt2+/4+の割合が増加した結果、より低温で酸素を放出しやすくなったことで、H2燃焼反応が促進されたためと考えられる。また、同触媒を用いたセンサは低濃度(0~200ppm)においてもH2濃度変化を定量的に検出可能であることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度(初年度)は低温で接触燃焼式センサに利用可能な新規な水素燃焼触媒の開発を目指し、当初の検討材料であるPtとアパタイト型希土類ケイ酸塩との組み合わせを検討した。様々なアパタイト型希土類ケイ酸塩の検討ならびに異種金属ドープによる特性改善を試みた結果、7wt%Pt/Eu10(Si0.90Mn0.10)6O27-δを触媒として用いたセンサにおいて室温でも精度良く水素ガスを検知することに成功したことから、当該研究は概ね順調に進捗していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
本課題研究では、対象ガスにH2およびCH4を選択しており、2023年度の成果によりH2ガスセンサとして利用可能な触媒候補の開発に成功した。本触媒系はCH4センサ用触媒にも発展させることが可能であることから、貴金属とアパタイト型希土類ケイ酸塩を組み合わせることでCH4センサの開発も進める。また、多孔化や貴金属フリー化による実用的な触媒材料の開発にも取り組む予定である。
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Causes of Carryover |
2023年度の計画ではメタンセンサについても検討する予定であったが、水素センサについて重点的に研究を行った結果、消耗品(特にガス類)での支出が少なくなった。 2024年度以降には、予定通りメタンセンサにつても実験を行うことから、次年度使用額分については2024年度に執行予定である。
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