2023 Fiscal Year Research-status Report
親和性解析を可能にするホウ素キレート制御型標的同定法の開発
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23K04940
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
斎藤 洋平 金沢大学, 先進予防医学研究センター, 助教 (90723825)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ホウ素キレート / 標的同定 / ケミカルバイオロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでホウ素キレート化合物に着目し、生体分子存在下でも効率的に形成可能な構造を明らかにしてきた。本研究ではキレートの形成から解離へと視点を移し、形成と解離を自在に制御可能な条件を見出すことで、得られた知見を生物活性分子の標的同定法へ応用する。 本年度は研究実施計画に従い、アフィニティー精製に適用する際に必要な官能基を有する新規ホウ素キレート化合物を合成した。本化合物の合成には従来の手法を用いると5工程有していたが、中間体の精製方法を工夫することで2工程の短縮に成功し、3工程で合成可能となった。続いて得られた化合物を用いて解離条件の検討を行った。まずはホウ素キレート化合物の解離条件としてこれまでに報告されている既存の条件を適用した。その結果、強酸性、強塩基性条件ではいずれも解離可能であった。一方、酸化剤を用いた条件では進行しないことが明らかとなり、形成と同様、解離においても基質、及び置換基構造の重要性が示唆された。更に本過程で核磁気共鳴(NMR)装置を利用した解離の定性分析が可能であることも判明したため、適宜NMRを利用して解離の可否を評価することにした。 しかしながら、変性の観点から強酸性、強塩基性条件をそのままタンパク質等の生体高分子存在下に適用することは困難なため、それらが変性しない温度、酸性度、溶媒組成を考慮しながら細かく条件を設定した。種々検討した結果、ホウ素キレートの解離制御には温度、及び溶媒組成が複雑に影響し得ることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画調書、並びに研究実施計画に記載した当該年度における設定目標に概ね到達することが出来たため。
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Strategy for Future Research Activity |
生物活性分子のモデル基質における解離条件の最適化検討。新規アフィニティー精製への着手。
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Causes of Carryover |
各社キャンペーンや値段交渉の結果、予算申請時に見込まれていた価格より物品、試薬類を安価に購入することが出来たために生じたものであり、基本的には計画通りに使用できている。翌年度以降も計画通りに使用していく。
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