2023 Fiscal Year Research-status Report
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23K04957
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
岡村 秀紀 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (60832293)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 光反応 / 含窒素芳香環 / 分子内環化反応 / 光分子構築法 / 光制御 / 生体内合成化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
薬物分子の活性を生体内で時空間制御できる光分子操作技術は、生命現象の解明や副作用の少ない薬物療法を実現可能な方法論として注目を集めている。本研究では「光による分子骨格の構築」という新たな概念に基づく薬理活性制御法の開拓を研究する。具体的には、申請者が独自に発見したニトロベンジルオキシムエーテルの特異な反応性を用いて生体適合性の分子内光環化反応を開発し、薬物分子の細胞内光構築に基づく活性制御の概念実証を目指す。2023年度は、① 含窒素芳香環を与える光誘起型分子内環化反応の開発と、② 新規光反応を利用した抗がん活性分子の光分子構築について研究を進めた。 ① 含窒素芳香環を与える光誘起型分子内環化反応の開発:ニトロベンジル基への光照射によって誘起されるN-O結合の開裂反応を応用し、種々の窒素中心ラジカルの生成ならびに分子内環化反応を検討した。その結果、先行研究で報告したイミニルラジカル以外の窒素中心ラジカルを生成可能であること、また、それらを用いて含窒素芳香環を構築できることを見出した。さらに、これらの光誘起型環化反応が含水溶媒中で進行することも確認した。 ② 新規光反応を利用した抗がん活性分子の光分子構築:新たに開発した光反応を用いて、薬物分子の光分子構築を試験管レベルで検討した。その結果、光反応収率に改善の余地を残すものの、1,6-naphthyridine骨格を有する抗がん剤誘導体の構築に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた研究計画通りに、新規光誘起型環化反応の開発と薬物分子の光分子構築を進めることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画に基づき、引き続き光誘起型環化反応の開発を進める。基質適用範囲を検証するほか、反応機構の詳細を明らかにする。また、光分子構築に基づく細胞内での抗がん活性制御も検討する。具体的には、抗がん剤誘導体の細胞内光反応を検討し、光分子構築に基づく活性制御が可能であるか明らかにする。
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Causes of Carryover |
一部消耗品を次年度に購入することに変更したため。2024年度に計画している細胞実験用試薬の購入に用いる予定である。
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Research Products
(13 results)