2023 Fiscal Year Research-status Report
可溶性ポリアクリルアミドゲル電気泳動を活用したミドルダウンプロテオミクス法の開発
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23K04963
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
武森 信暁 愛媛大学, 学術支援センター, 講師 (40533047)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ミドルダウンプロテオミクス / ポリアクリルアミドゲル電気泳動 / プロテオフォーム / BAC-PAGE |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、現在主流のトップダウンプロテオミクスアプローチでは解析が難航している高分子量プロテオフォームの高深度解析の実現に向けて、研究代表がこれまでに開発した可溶性BAC架橋ポリアクリルアミドゲル電気泳動(BAC-PAGE)およびゲル内タンパク質の高効率受動抽出法(PEPPI-MS)を活用したゲルベースの新規ミドルダウンプロテオミクス法の開発を行う。今年度は、生化学実験において通常使用される不溶性Bis架橋ポリアクリルアミドゲルを用いたSDS-PAGEと、可溶性BAC-PAGEを組みわせたPAGEベースの2次元プロテオフォーム分離システムを開発し、ミドルダウン解析用サンプルを高分解能分画するためのサンプル前処理ワークフローの構築を行なった。開発した二次元分離システムにおいて生体サンプルから抽出したプロテオーム成分は、(1)BAC-PAGEによる1次元目の分離(インタクトタンパク質レベル)、(2)BACゲル内タンパク質のGlu-Cによる限定消化、(3)還元処理によるBACゲルの溶解、(4)溶解ゲルを用いた二次元目のSDS-PAGE分離(ペプチドレベル)、(5)PEPPI-MSによるゲル内消化ペプチド(50 kDa以下)の回収により、詳細に分画された。得られた消化ペプチド分画は、アニオン交換StageTipにより精製した後、質量分析を用いたミドルダウンプロテオミクス分析に供した。ヒト細胞抽出サンプルを用いた検証実験では、BAC-PAGE分画を行わない1次元分画ワークフローと比較して、今回開発した二次元分画ワークフローでは検出可能なミドルダウンペプチド数が約2倍向上する結果となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、BACゲルの溶解特性を活用したPAGEベースのサンプル分画法の開発に成功している。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は損失を抑えた二次元サンプル前分画ワークフローの開発に成功しており、今後は開発したワークフローとLC-FAIMS質量分析システムを組み合わせた高深度ミドルダウンプロテオミクスのための計測基盤(2D-GeLC-FAIMS-MS)の構築を進める。
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Causes of Carryover |
初年度はゲルベースのサンプル分画法の開発が中心となったため、質量分析研究のために当初予定していた物品費の一部および人件費への支出を初年度には行わず、次年度での使用を計画している。
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