2023 Fiscal Year Research-status Report
診断・耐性薬剤検査を同時に実現するためのヒト病原性virus NAプローブの開発
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23K04970
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
大坪 忠宗 広島国際大学, 薬学部, 准教授 (30365879)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 忠伸 静岡県立大学, 薬学部, 准教授 (20405145)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | シアリダーゼ / 蛍光プローブ / ウイルス特異的 / 蛍光組織染色 / インフルエンザ / 薬剤耐性 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、これまでに開発したシアリダーゼ(ノイラミニダーゼ)活性をもつ酵素全般を蛍光検出しつつ組織染色可能なプローブの糖部分を化学修飾する事によって特定ウイルス特異的なプローブの探索を行った。その結果、インフルエンザウイルスA型由来のノイラミニダーゼに特異的なプローブを複数見つけることができた。 これらプローブは、インフルエンザウイルスA型由来のノイラミニダーゼとは反応して、ウイルス感染細胞を蛍光組織染色できるが、その他のウイルス(ムンプスウイルス、ニューカッスル病ウイルス、ヒトパラインフルエンザウイルス1型・3型)由来のノイラミニダーゼまたはヘマグルチニンノイラミニダーゼとは反応せず、感染細胞の染色もできなかった。 また、開発したインフルエンザウイルスA型ノイラミニダーゼ特異的プローブを用いて、オセルタミビル耐性インフルエンザウイルス検出を行った。具体的には、オセルタミビル耐性ウイルスと感受性ウイルスを感染させた細胞に、新規プローブをオセルタミビル共存下反応させたところ、薬剤耐性ウイルス感染細胞のみが蛍光組織染色された。以上により、本年度開発したプローブを用いて、薬剤耐性ウイルスを感染細胞レベルで検出することができた。 これらの結果は、出願した特許に反映し、学会報告を行った。 公表段階ではないが、一部誘導体は、インフルエンザウイルスのN1型とN2型に対して異なる反応性を示しており、インフルエンザウイルスの亜型を蛍光識別することが可能である予備的な結果を得ている。これら誘導体の構造の確定、識別能の解明を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
インフルエンザウイルス特異的プローブ完成の目途がたっている。また、誘導体の一部は、NAの亜型(N1型とN2型)に対する反応性が異なる挙動を示している。これは、当初計画にはなかったインフルエンザウイルスの亜型を蛍光判別できる可能性を示唆しており、新たな方向性が明らかとなった。並行して、ムンプスウイルス由来のシアリダーゼに特異的な誘導体の開発も進めており、一部の化合物に選択性が示唆されている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、インフルエンザウイルスのN1型とN2型を識別できるプローブは、HPLCによる分離で得られている。しかし、これらは合成ルート、NMR、MSからジアステレオマーであることは確実である。これらジアステレオマーの安定な前駆体を一定量確保しつつ、X線結晶構造解析を含むスペクトル解析により構造確定を目指す。 合わせて、進行中のムンプスウイルス特異的プローブの最適化を行い、インフルエンザウイルス、ムンプスウイルスそれぞれに対して特異的なプローブの完成を目指す。
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Causes of Carryover |
油回転式真空ポンプの購入を進めていたが、2023年度内の納品が間に合わない旨の連絡を受けて、一旦キャンセルをしたため、繰越金が発生した。また、誘導体の合成においては、合成初期の化合物が比較的好ましい結果を示したことから、探索範囲を狭める事が可能となり、来年度計画における探索範囲を十分なものとするために繰り越すこととした。
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