2023 Fiscal Year Research-status Report
水田土壌におけるアンモニア生成微生物コンソーシアムとその制御要因の解明
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23K04976
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
増田 曜子 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (80813237)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 15N-SIP / アンモニア生成 / GCMS / メタトランスクリプトーム解析 / アンプリコン解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
水田土壌ミクロコズムを作製し、アンモニアへと変換される各種の15N標識窒素化合物(15NO3-, 15N2O, 15N2)を添加した。コントロールとして14NO3-, 14N2O, 14N2添加区も作製した。それぞれの窒素化合物量の変化をGCMS を用いて調べるとともに、 抽出した土壌DNA・RNA解析を行ってSIPおよびアンプリコン解析、メタトランスクリプトーム解析を行い、15Nを取り込んでいる微生物群およびアンモニア生成反応の各ステップを駆動している微生物群を詳細に調べた。 その結果、これまでに以下のことがわかった。 ・15NO3-を添加区では、15N2Oおよび15N2添加区よりも培養早期に微生物による15Nの取り込みが見られた。 ・15N2O添加区では15N2添加区よりも培養早期に微生物による15Nの取り込みが見られた。また、添加されたN2Oは主にnosZによりN2へと変換され、その後nifによりアンモニアへと変換されていることがGCMS解析およびメタトランスクリプトーム解析により示された。 ・密度勾配遠心を行うことで、より重い画分に16S rRNA遺伝子がシフトしているサンプルを選択しアンプコン解析を行ったところ、全ての添加区において共通して15Nを取り込んでいる細菌が存在した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
水田土壌においてさまざまな窒素化合物由来の窒素を取り込んでいる微生物群の解析を終えた。現在、メタトランスクリプトーム解析を用いて異化的反応を駆動している微生物群についての調査を行っている。今後は、アンモニア生成がより促進される条件の探索を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
pHや電子供与体および電子受容体量を変化させた条件で前年度と同様の実験を行い、結果を比較することでよりアンモニア生成の活性が高まる条件を調査する。また、その際に活発にアンモニア生成を行っている微生物についての知見を得る。本研究から得られる知見は、窒素施肥に依存しない水稲栽培技術の開発につながるものである。
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Causes of Carryover |
アンモニア生成がより活性化する条件を調査するための試薬の発注を今年度に行うため。また、外注で行うメタトランスクリプトーム解析を行うサンプルの選定に時間を要したため。
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