2023 Fiscal Year Research-status Report
生理的環境下の光合成から生成する活性酸素のライブイメージング検出
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23K04977
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
和田 慎也 神戸大学, 農学研究科, 助教 (80637942)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 光合成 / 電子伝達 / 光酸化ストレス / 活性酸素 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、植物の光酸化傷害機構における光合成光化学系I(PSI)からの活性酸素種(ROS)生成を、ROS特異的マーカータンパク質(roGFP-ORP1)を用いて検出することを目的とする。 2023年度は、まず解析に必要な植物材料の作成を行った。レドックス感受性緑色蛍光タンパク質(roGFP)と、酵母由来H2O2-スカベンジングペルオキシダーゼ(ORP1)の融合タンパク質(roGFP-ORP1)を恒常的発現プロモーター(35Sプロモーター)の制御下で発現するベクターコンストラクトを作成し、アグロバクテリウム法によりシロイヌナズナへ導入した。roGFP-ORP1マーカータンパク質は、細胞内局在の異なる葉緑体型と細胞質型の2種類を作成し、形質転換導入を行った。形質転換当代の種子を抗生物質耐性により選抜を行った結果、複数の形質転換株の選抜に成功した。いくつかの形質転換株を栽培し、共焦点顕微鏡にて生葉の葉肉細胞を観察したことろ、葉緑体および細胞質にて導入したGFPの蛍光が観察される個体が確認できた。形質転換体DNAにおける導入コンストラクト配列のPCRによる検出、および継代してもGFP蛍光が安定して観察できる系統の選抜をもって、目的の形質転換体の作出を完了した。 一方で、2023年度の段階では、作成した形質転換株のROS感受性の評価実験を行うには至らなかった。次年度は、その評価を中心に実験を展開していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
所属研究機関の異動が生じたことにより、研究室の引っ越しのため、研究可能な期間が制限されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、昨年度作成したroGFP-ORP1マーカータンパク質発現株を利用して、光合成光化学系I(PSI)からのROS生成の実証を行う。これまでにPSIの光酸化傷害が観察されている連続的パルス光照射条件における、PSIの機能傷害時におけるマーカータンパク質のスペクトル変化を観察する。また、同形質転換体から単離した葉緑体を用いて、人為的に活性酸素(H2O2)を添加した際のスペクトル変化も観察することで、in vitroにおけるマーカータンパク質の活性酸素感受性を評価する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた主な理由は、本研究申請者の所属研究機関の異動が生じたことである。異動作業によって、異動前所属機関における研究期間が限られてしまったことにより、物品費を中心に予定額よりも実際の使用金額が減少した。次年度は、異動後所属機関におけるスタートアップとして次年度使用となった予算を利用し、速やかな研究計画の実施に努める計画である。
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Research Products
(3 results)