2023 Fiscal Year Research-status Report
大腸菌における5'-UTR配列依存的な翻訳制御によるタンパク質高発現
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23K04987
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
中村 美紀子 信州大学, 基盤研究支援センター, 准教授(特定雇用) (20457310)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 5'-非翻訳領域 / タンパク質合成量 / ルシフェラーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
遺伝子発現はDNAからmRNAが合成されるところから始まるため、mRNAの合成量に依存すると考えられている。しかし、転写量が少ないにもかかわらず高発現する大腸菌内在性プロモータの取得に成功し、最終的な遺伝子発現量はmRNA量だけに依存するわけではないことが分かってきた。特に取得したプロモータの5'-非翻訳領域の解析から、遺伝子発現は転写過程以上に翻訳過程が重要であることが分かってきた。5'-非翻訳領域においてリボソームが結合するシャイン・ダルガーノ配列以外に翻訳機構がどのように制御されているのかは知られていないので、それを明らかにすることが目的である。 そこで本研究では、タンパク質合成量の変化を指標に翻訳にかかわる5'-非翻訳領域の機能配列の探索を行った。取得した高発現する遺伝子の5'-非翻訳領域をベースに様々な変異を加え、レポーター遺伝子に赤色蛍光タンパク質RFPを用いて行った。この方法は、タンパク質合成量を減弱させる変異の取得に有効であったが、増強させる変異は取得することができなかった。そこで、タンパク質合成量を増強させる変異を取得するため、レポーター遺伝子をルシフェラーゼに変更し、ルシフェラーゼ活性を定量することで変異の取得を試み、いくつかの変異候補を取得することができた。RFPの定量化はレンジが狭く発現量の増強、減弱の判断が困難であったが、ルシフェラーゼ活性の定量に変更したことで、詳細な発現データを取得することできるようになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和5年度の当初計画での目標が、取得した高発現する遺伝子の5'-非翻訳領域に変異などの様々な人工配列を与えて、タンパク質合成量の発現データを取得することであったので、計画通り順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
機能配列の翻訳制御の解明には、関連するタンパク質を探索することが重要であると考えている。そこで、再構成した無細胞タンパク質合成系を用いて、in vivoでタンパク質合成量を大きく変化させることが分かった変異配列の翻訳量を調べる。in vivoとin vitroで同様な結果が得られれば、その変異は翻訳にかかわっており、再構成に用いられているタンパク質群によって制御されていると考えられ、機能配列を制御するタンパク質を明らかにすることができる。
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Causes of Carryover |
一般の方ではなく学生(実験手技をすでに習得している)を研究補助として雇用したため、当初予定の時給が抑えられた。また、学会の過去の開催順を参考に、申請時において令和5年度は関東、令和6年度は中部として考え旅費の見積もりを行ったが、令和5年度が中部で、令和6年度が関東で行われることが分かった。令和5年度はアクセスの良い名古屋であったため、宿泊期間の短縮、宿泊代などの旅費が抑えられた。一方、令和6年度は宿泊費の高い東京(東工大)で開催されることが決定しており、次年度に使用する予定である。
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