2023 Fiscal Year Research-status Report
好乾性糸状菌由来ペプチダーゼによる鰹節構成タンパク質の分解メカニズムの解明
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23K04992
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
竹中 慎治 神戸大学, 農学研究科, 教授 (40314512)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | Aspergillus / 好乾性糸状菌 / 鰹節 / タンパク質分解酵素 / ペプチダーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
鰹節の発酵熟成に関わる好乾性糸状菌の菌叢解析がなされ、優占種が明らかにされている。2023年度は、A. chevalieri、A. pseudoglaucusおよびA. sydowiiについてエンド型およびエキソ型ペプチダーゼの解析を進めた。それぞれの固体培養物から酵素活性を指標に、各種クロマトグラフィーによって酵素精製を進めた。その結果、A. chevalieriからは、アミノペプチダーゼ(1種)、ジペプチジルペプチダーゼ(2種)、カルボキシペプチダーゼ(1種)を同定した。A. pseudoglaucusからは、アミノペプチダーゼ1種、ジペプチジルペプチダーゼ1種を同定した。また、A. sydowiiからは、アミノペプチダーゼ(5種)、ジペプチジルペプチダーゼ(2種)、カルボキシペプチダーゼ(3種)、アスパルティックプロテアーゼや鰹肉タンパク質に対して分解活性を示す2種のセリンプロテアーゼtrypsin-like serine proteaseおよびelastinolytic serine proteaseを見出した。ペプチダーゼの生産に与える固体培地の水分活性の影響を調べた。総活性についてはアミノペプチダーゼが低水分活性下で活性が高まることが示唆された。また、触媒化学的諸性質を調べた結果、鰹節粉から抽出した鰹節タンパク質に対して高活性なペプチダーゼは、A. pseudoglaucus由来アミノペプチダーゼおよびA. sydowii由来trypsin-like serine proteaseであることがわかった。年度の後半より、遺伝子発現解析の準備および鰹節タンパク質に対して高活性な2種のペプチダーゼを中心にPichia酵母および麹菌による異種発現を試みている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
・研究対象とした鰹節カビから、ペプチダーゼ類を網羅的に同定することを完了した。 ・鰹節タンパク質とは、ミオシン重鎖尾部領域が鰹節の製造過程(煮熟・焙乾)でランダムに切断されたポリペプチド混合物であることを明らかにした。 ・同鰹節タンパク質の加水分解に寄与するペプチダーゼを特定することができた。 ・特定したペプチダーゼのうち、A. pseudoglaucus由来アミノペプチダーゼは、低水分活性下特異的に発現していることを見出した。 以上のことより、研究計画はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
・鰹節カビが分泌するペプチダーゼ類の中から、低水分活性下で特異的に発現するペプチダーゼの特定を続ける。 ・同鰹節タンパク質の加水分解に寄与するA. pseudoglaucus由来アミノペプチダーゼおよびA. sydowii由来trypsin-like serine proteaseについて、天然タンパク質に対する触媒化学的諸性質を明らかにする。 ・そのために、異種発現系の構築および大量発現のための条件を検討する。
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Causes of Carryover |
サンプルの調製に当初の予定よりも時間がかかり、遺伝子発現解析の分析依頼が3月末となり、納品(依頼費用請求)が2024年度となってしまったため。
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Research Products
(6 results)