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2023 Fiscal Year Research-status Report

Mechanism of beneficial traits conferred to bacteria by lysogenic phages

Research Project

Project/Area Number 23K04999
Research InstitutionHosei University

Principal Investigator

佐藤 勉  法政大学, 生命科学部, 教授 (70215812)

Project Period (FY) 2023-04-01 – 2026-03-31
Keywordsファージ / 枯草菌 / 溶原性ファージ / 部位特異的組換え / 胞子形成 / 遺伝子再編成
Outline of Annual Research Achievements

溶原性ファージは、自らのゲノムを宿主ゲノムに挿入し、宿主の分裂とともにコピーを増やす生活環を持つ。宿主ゲノムに組み込まれたファージをプロファージと呼ぶ。ファージ溶原菌には新たに機能が付与されることがある。ファージが認識するattBが遺伝子内にある場合、遺伝子が分断されるが、枯草菌はこれを発現調節に利用する。例えば、胞子形成遺伝子に組み込まれたプロファージは胞子形成期に自らのゲノムを欠失させ、当該遺伝子の発現調節を行う。つまり、プロファージは宿主の細胞分化プロセスの一端を担うことで宿主機能を高度化させている。ファージゲノムの挿入と欠失は部位特異的組換え酵素(Int)と切り出し因子(RDF)が担っている。本研究は、このような機能を宿主に付与する溶原性ファージを環境中より取得し、対象となる遺伝子とそのメカニズムの解明を目的としている。独自に開発した溶原性ファージのスクリーニング系を用いて、これまで枯草菌ゲノム上の8箇所のattBを認識するファージを得ている。今回、さらに鉄硫黄クラスター合成に関与するsufB内の配列をattBとして溶原化するファージA-bを取得した。本研究室で単離したφshrKはsigK内の配列をattBとして認識するファージであり、プロファージが胞子形成期に欠失することで胞子形成の進行を担う。一方、枯草菌168株ゲノム上のsigK遺伝子にはskin elementと呼ばれる欠陥プロファージが既に組み込まれている。φshrKはskin+株に溶原化するが、その際skinのattLあるいはattRを認識し、skinとタンデムに配置されることが確認された。また、その株を継代培養するとφshrK がskinを宿主ゲノム上から排除することが明らかになった。環境中からの溶原性ファージ取得により、attBをめぐるファージ間の競合と欠陥プロファージの排除プロセスの一端が明らかとなった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

環境中の枯草菌溶原性ファージ単離を継続させている。単離されたファージのほとんどがこれまで得られたファージが認識する配列をattBとして認識するファージであったが、今回sufB内の配列を認識するA-bファージを取得した。この遺伝子を加え、これまでgerE、kamA、pbuX、radC、sigK, spoVK、spsM、sufB、tRNAval遺伝子内のattBを標的に溶原化するファージを単離した。これらのattBのゲノム上の位置は複製終結点側に偏っているため、ファージゲノムの挿入位置とDNA複製との間に関係性があることが示唆された。また、gerE、kamA、sigK、spoVK、spsMは宿主の細胞分化に必要な胞子形成遺伝子である。これらの位置に挿入されたプロファージは当該遺伝子を分断するが、胞子形成期に欠失することにより遺伝子を再構築する。この仕組みは部位特異的DNA組換えを介した遺伝子発現機構であり、これらのファージは溶原化により宿主に高度な調節機構を提供する。今回、本研究室で得られたファージのうちφshrKが、宿主ゲノム上の欠陥ファージ(skin)を自らのゲノムに置き換える機構を持つことを明らかにした。これまで欠陥プロファージが新たなファージの感染による置換プロセスについての報告はない。

Strategy for Future Research Activity

本研究では誘導可能なプロモーターの下流に同定されたattBとその下流に致死遺伝子mazFを配置させた株を当該attBを認識するファージスクリーニング株としている。ファージゲノムがattBに挿入されるとプロモーターとmazFとファージゲノムに離れるため致死性が解除される。一方、誘導致死株はゲノム上の他の配列を認識するファージ溶原化株であり、この株より新たなattBを認識するファージが単離できる。今後は、プロモーターとmazF間に配置する標的attBを複数種並べて配置することで、スクリーニング効率を向上させる。また、得られた個々のファージそれぞれが持つ部位特異的組換え装置の発現調節機構および溶原性ファージ同士の競合メカニズムに焦点を当てた研究を推進させる。

Causes of Carryover

当初計画より消耗品の使用に関し、若干の経費節約ができたため未使用額が生じた。次年度研究費は主に環境中から溶原性ファージの取得とそのDNAシークエンスに関わる解析費と研究補助費を予定している。前年度の未使用額はファージのスクリーニング回数を増加させ,その増額分として使用する予定である。

  • Research Products

    (11 results)

All 2024 2023

All Presentation (11 results) (of which Invited: 1 results)

  • [Presentation] 枯草菌溶原性ファージφY7によるspoVK再編成機構2024

    • Author(s)
      岡脇佑奈、今村大輔、佐藤勉
    • Organizer
      日本ゲノム微生物学会
  • [Presentation] 相同組換えによるファージ溶原化に伴う宿主ゲノム大規模再編成2024

    • Author(s)
      小野由花乃、菅野貴史、茶谷朋哉、鈴木祥太、佐藤勉
    • Organizer
      日本ゲノム微生物学会
  • [Presentation] プロファージの置換プロセス2024

    • Author(s)
      内田勇貴、今村大輔、佐藤勉
    • Organizer
      日本ゲノム微生物学会
  • [Presentation] 溶原性ファージ感染による欠陥プロファージの排除2023

    • Author(s)
      内田勇貴、今村大輔、佐藤勉
    • Organizer
      ファージ研究会
  • [Presentation] 枯草菌溶原性ファージ Φ Y7 による spoVK 遺伝子再編成2023

    • Author(s)
      岡脇佑奈、今村大輔、佐藤勉
    • Organizer
      ファージ研究会
  • [Presentation] 枯草菌溶原性ファージのDNA組換え2023

    • Author(s)
      小野由花乃、菅野貴史、茶谷朋哉、伊神のぞみ、今村大輔、佐藤勉
    • Organizer
      ファージ研究会
  • [Presentation] 溶原性ファージ感染による欠陥プロファージの排除2023

    • Author(s)
      内田勇貴、伊藤光瑠、今村大輔、佐藤勉
    • Organizer
      日本ファージセラピー研究集会
  • [Presentation] 遺伝子再編成に関与するプロファージ2023

    • Author(s)
      佐藤勉
    • Organizer
      日本ファージセラピー研究集会
    • Invited
  • [Presentation] 枯草菌SPβの相同組換えによる溶原化2023

    • Author(s)
      小野由花乃、菅野貴史、茶谷朋哉、鈴木祥太、今村大輔、佐藤勉
    • Organizer
      微生物研究会
  • [Presentation] 枯草菌溶原性ファージ Φ Y7 による spoVK 遺伝子再編成2023

    • Author(s)
      岡脇佑奈、今村大輔、佐藤勉
    • Organizer
      微生物研究会
  • [Presentation] 溶原性ファージ感染による欠陥プロファージの排除2023

    • Author(s)
      内田勇貴、伊藤光瑠、今村大輔、佐藤勉
    • Organizer
      微生物研究会

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Published: 2024-12-25  

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