2023 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of the activity control mechanism mediated by SH groups of proteins in myxobacteria
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23K05011
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
木村 義雄 香川大学, 農学部, 教授 (10243750)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | チオレドキシン / チオレドキシンレダクターゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
チオレドキシンの酵素学的諸性質の検討 粘液細菌Myxococcus xanthusはゲノム解析より5つのチオレドキシンと10のチオレドキシンホモログタンパク質及び1つのチオレドキシンレダクターゼを有していると推定された。細菌はシアノバクテリアを除き、チオレドキシンを1から2個程度有している場合がほとんどで、本菌が有するチオレドキシンの数は多く、そのため、最初にこれらのチオレドキシンが触媒機能を有するかどうかをジスルフィド結合を有する低分子化合物やインシュリン、およジスルイフィド結合を開裂することによって活性が上昇する本菌の2つの酵素を用いて、酵素学的諸性質の検討を行った。 その結果、5つのチオレドキシン(Trx1~5)において全ての基質に対して、還元活性が見られ、特にTrx1において高い活性が見られた。一方、10のチオレドキシンホモログタンパク質のうち大腸菌で発現できた7つにおいては、活性は極めて低かったため、ホモログタンパク質はチオレドキシンとして機能していないと考えられた。 チオレドキシンはジスルイフィド結合を開裂するとそれ自身は酸化され、活性部位にある2つのシステイン残基の間でジスルイフィド結合を形成する。この酸化されたチオレドキシンはチオレドキシンレダクターゼによって還元され、活性化される。このチオレドキシンレダクターゼの酵素学的諸性質も明らかにし、従来、細菌のチオレドキシンレダクターゼは基質特異性が高いとされてきたが、本酵素は種々の低分子化合物基質を還元した。また、Trx1~5を基質としてKm値を求めるとTrx1に対して高い基質親和性を示したことから、Trx1の活性が高いのはチオレドキシンレダクターゼによって効率よく活性化されることによると推定された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
粘液細菌Myxococcus xanthusが有するチオレドキシンとチオレドキシンレダクターゼの酵素学的諸性質について明らかにし、その結果を現在、論文にして投稿中である。また、生物の細胞に高濃度で存在するグルタチオンは、細胞の還元状態を維持するのに重要な働きを有している。M. xanthusにおけるグルタチオンの機能解析の実験はほぼ終了し、現在、論文を執筆中である。また、本研究の大きな目的の1つである本菌におけるチオレドキシンの標的タンパク質の探索も手法が確立され、7程度のタンパク質が同定され、現在、さらに同定を進めている。これらのことから、おおむね順調に進捗していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
粘液細菌Myxococcus xanthusにおいてチオレドキシン(Trx)がジスルイフィド結合を開裂することにより活性を制御しているタンパク質の探索を引き続き実施する。これまでTrx1とTrx2のチオレドキシン変異酵素を用いて、本菌の対数増殖期と定常期の粗酵素抽出液から標的タンパク質の探索を行ってきた。今後は飢餓誘導による分化時の細胞や種々のストレス条件下での細胞から本菌のタンパク質を調製し、これらのタンパク質のなかから、チオレドキシンにより活性制御を受ける標的タンパク質の探索を行う。探索されたタンパク質が酵素の場合、大腸菌で発現して、実際にTrxによって活性が制御されるかを確認する。 また、チオレドキシンと同様な働きをするとされるグルタレドキシンを本菌は3つ有しているので、これらの酵素学的諸性質の検討を行ったのちに、標的タンパク質の探索を行う予定である。
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Causes of Carryover |
当年度に備品を購入予定であったが、ペプチドシークエンス解析を依頼し、その費用が想定より多くかかったので、備品が購入できず、次年度に残を繰り越して購入することにしたため次年度使用額が生じた。次年度の前半で繰越金を用いて備品を購入する予定である。
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