2023 Fiscal Year Research-status Report
大腸菌特有の EvgS センサー活性化制御機構の解析
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23K05019
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
江口 陽子 近畿大学, 生物理工学部, 准教授 (30757422)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大沼 貴之 近畿大学, 農学部, 教授 (60446482)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 二成分制御系 / EvgS / ヒスチジンキナーゼ / 大腸菌 / 赤痢菌 / 病原性大腸菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究が対象とするEvgSは、大腸菌および赤痢菌に特有の EvgS/EvgA二成分情報伝達系のセンサーとして働く。本研究ではEvgSが活性化するのに必要な刺激の特定とその活性化調節メカニズムの解明を目的とする。当該年度では、大腸菌MG1655株のEvgSの細胞外領域と細胞内のPAS領域の発現系の構築と発現条件の検討を行った。細胞外領域およびPAS領域の精製まで進んだが、細胞外領域を2つに分けた各領域は精製の過程で不溶化してしまい、現在、可溶化条件の検討を続けている。次年度には、精製タンパク質がある程度揃った段階で、ユビキノンやサリチル酸(阻害剤)との相互作用を等温滴定型熱量計(ITC)で測定する予定である。 当該年度の前半に、腸管出血性大腸菌O157株のEvgSが酸性pHではなくニコチン酸アミドで活性化するという論文が中国のグループから報告された。この論文では、O157が毒素を宿主に注入するⅢ型分泌装置の発現にもEvgS/EvgA系が関与することも報告している。これはEvgS/EvgA系が病原性発現に関わる新たな知見であるため、赤痢菌や接着性浸潤性大腸菌(AIEC)のEvgSに加え、O157のEvgSもMG1655株のEvgS/EvgAレポーター株にて発現させるために発現ベクターにクローニングを行った。現在、クローニングされたプラスミドの塩基配列の確認中である。確認が終了次第、evgSを欠失させたMG1655のレポーター株に形質転換して、今までに知られてきた刺激がどのEvgSにどのように作用するかを測定する。 当該年度は目的の実験に使用する材料の構築を主として行った。これらの材料を使用して次年度に測定結果を得る予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度に等温滴定型熱量計(ITC)を用いた相互作用の測定まで進めたかったが、材料となるタンパク質精製に手こずり、予定よりやや遅れている。また、レポーターアッセイも各種EvgSを発現するプラスミドの構築に時間がかかり、レポーターアッセイを実施するところまでは到達しなかった。全体には着実に前進しているので、次年度はスピードを上げて取り組む予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度の遅れを取り戻すため、次年度は研究の推進力を高める。まず、タンパク質サンプルの精製を進め、なるべく早くITC測定に持っていく。ITCの前に目的とする化合物がタンパク質サンプルに結合するかどうかをLC-MSを使用して事前に検討し、結合する組合せのみをITC測定に供するという手順に変更する。これによって研究の効率を上げる予定である。 また、EvgSのクローニングをなるべく早く終了し、レポーターアッセイを進める。各菌株によってEvgSのアミノ酸配列も異なるので、各刺激への応答とアミノ酸配列の変化との関連を検討する。次年度の終わりあるいは次々年度に学術論文が作成できるように研究を推進させる。
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Causes of Carryover |
当該年度に計上していた旅費がITC測定を実施しなかったために次年度への繰り越しとなった。次年度はITC測定のための旅費に、さらに学会発表のための旅費に使用する予定である。また物品費は試薬の購入を控えめにしたために余ったもので、次年度に酵素、試薬、培地の購入費に使用する。
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