2023 Fiscal Year Research-status Report
非視覚細胞への光線曝露が誘導するRNAサイレンシング機構の解明
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23K05029
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Research Institution | Aichi Shukutoku University |
Principal Investigator |
山本 博之 愛知淑徳大学, 健康医療科学部, 教授 (10433210)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 俊幸 日本薬科大学, 薬学部, 教授 (20183981)
澤口 能一 桐蔭横浜大学, 医用工学部, 准教授 (20735477)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 光応答反応 / 非視覚細胞 / レチナール代謝 / DNAマイクロアレイ |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに、青色光の曝露によってRNA干渉に関わる遺伝子の発現が変動する可能性を予備試験で示してきた。そこで今年度は岡崎大型スペクトログラムを用いて様々な波長で曝露をした細胞の遺伝子発現解析を行った。すなわち、皮膚由来の細胞に350,450,550,650,750 nmの光を曝露した時に発現が変動する遺伝子をDNAマイクロアレイによって網羅的に解析した。その結果、細胞に照射した波長によって異なる遺伝子の発現変動が見られた。この結果から、光の曝露が細胞の遺伝子発現を調節しており、細胞は曝露された波長を認識して細胞応答を起こすことが示唆された。また、変動する遺伝子は短波長の青色光と長波長の赤色光で異なる特徴的な変動が見られた。この結果は、細胞は短波長と長波長で異なる光の応答機構が存在することを示唆するものである。 また、光の応答機序としてオプシンが関わっていると仮説を立て、その検証を行なった。これまでに皮膚由来の細胞にいくつかのオプシンが発現していることやオプシンの活性維持に関わる視サイクルに関わる酵素が発現していることを明らかにしている。また、皮膚の細胞においても、眼と同様に光の曝露によってオプシンに結合する11シスレチナールがトランスレチナールに変換されることを示した。そこで、細胞が光を認識する波長を明らかにするために、生成するトランスレチナール量を指標に検証したところ、460 nm付近で最も高い応答性が見られた。これらの結果から、青色光においては、オプシンを介して光応答性を示すことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、特定の波長が遺伝子発現を調節していることを明らかにすることができた。得られた成果から、次年度以降に解析の標的とする複数の遺伝子を決定することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
DNAマイクロアレイによって得られた成果から、遺伝子発現を最も強く調節する波長を決めることができた。そこで、詳細な評価を定量RT-PCRやウエスタンブロットなどの異なる手法でも検証する。また、応答を最も強くなる条件を、「光の強度」と「照射時間」の視点で評価する。
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Causes of Carryover |
得られた成果の論文を投稿している。採択後の掲載料のため助成金の一部を次年度に繰り越すこととした。次年度の助成金は、実験試薬などの物品費、成果の発表や情報交換のための学会参加費とその旅費、および論文投稿・掲載に関わる費用に充てる。
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Research Products
(2 results)