2023 Fiscal Year Research-status Report
Identification and application of key enzyme in Marchanti polymorpha for elucidation of novel oxylipin biosynthetic pathway
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23K05047
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
北岡 直樹 北海道大学, 農学研究院, 准教授 (20785547)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐分利 亘 北海道大学, 農学研究院, 准教授 (00598089)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | オキシリピン / 植物ホルモン / 生合成 / ジャスモン酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
植物オキシリピンの中には植物ホルモンの一種であるジャスモン酸 (JA)類が含まれる。ジャスモン酸類の受容体であるCOI1-JAZのリガンドは、高等植物においてはジャスモン酸イソロイシンである一方、ゼニゴケではジャスモン酸の生合成中間体でもあるdinor-cis-12-ファイトジエン酸 (dn-OPDA)であるということが明らかとなっている。本研究では、ゼニゴケを研究対象とし、苔類における植物オキシリピンの生合成経路と生理作用解明を目指し研究を進めている。 ゼニゴケにおける生合成経路の解析に必要となる重水素標識体を含むゼニゴケのオキシリピン類の標準物質の有機合成を行った。合成したdn-OPDAの重水素標識体を取り込ませたゼニゴケにおいてジャスモン酸の生成を確認した。また、JAの生合成中間体と考えられる化合物をゼニゴケ植物体より検出した。以上結果は、dn-OPDAからJAへの代謝経路をゼニゴケが有していることを示唆する結果である。またOPDAより生合成経路上、下流に位置すると予想される酵素遺伝子の破壊株の作製を行った。 また、ジャスモン酸メチル (MeJA)の重水素標識体を気中より取り込ませたゼニゴケにおいて、JAの生合成が誘導されるという結果を見出した。本研究結果は、ゼニゴケがJAもしくはその代謝物を認識していることを示唆する結果である。 OPDAを基質とする代謝酵素の探索も進めている。ゼニゴケ粗酵素溶液より酵素活性を指標に酵素精製を進めた。部分精製後の酵素溶液をプロテオーム解析に供し、ゼニゴケのOPDA代謝に関わる候補酵素の選抜に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験の進行に必須であるオキシリピン類の合成に成功するともに、OPDAの代謝に関わると予想される候補酵素の取得に成功したため。
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Strategy for Future Research Activity |
ゼニゴケのOPDAより下流に位置すると予想される酵素の機能解析を進めると共に、同酵素遺伝子の破壊株を作製する。破壊株の代謝産物と表現型を調べ、ゼニゴケにおけるオキシリピン類の生合成経路と生理作用を明らかにする。 OPDA代謝酵素の精製をより効率よく行うためのアフィニティーカラムの合成を進める。
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Causes of Carryover |
LC-MSが更新予定となり、LC-MS用のカラムの購入を2024年度の機器更新後に行うことにしたため。
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