2023 Fiscal Year Research-status Report
合成化学を基盤とした癌関連ドメインの機能理解と応用
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23K05055
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
河村 奈緒子 岐阜大学, 糖鎖生命コア研究所, 助教 (80849711)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 糖脂質 / ガングリオシド / シアル酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、独自の強力な糖鎖合成化学により開発する糖脂質プローブと分子イメージング技術の融合により、癌細胞上に過剰発現するシアル酸含有糖脂質(ガングリオシド)と細胞膜ドメイン(脂質ラフト)の関係性を明らかにし、癌細胞の増殖・浸潤シグナルの分子基盤を解明することを目的としている。 初年度は、当初の計画に従い、蛍光ガングリオシドGD2プローブの開発に取り組んだ。 申請者らが開発した蛍光ガングリオシドプローブ(Nat. Chem. Biol. 2016)をもとに、ガラクトサミンの6位を蛍光色素導入位置とした蛍光ガングリオシドGD2プローブを設計した。そこで、ガラクトサミンの6位に蛍光色素を選択的に導入するため、6位の水酸基をアミノ基で置換したアミノGD2の合成を計画した。まずは、6位の水酸基をアジド基で置換したガラクトサミン供与体を合成した。この供与体と、別途調製した三糖受容体をグリコシド化反応に供することでGD2の四糖骨格を収率良く合成した。得られた四糖に亜鉛と酢酸を作用させることで、ガラクトサミンの6位アジド基と2位トリクロロアセトアミド基をそれぞれアミノ基とアセトアミド基へ収率良く変換することに成功した。続いてガラクトサミン6位のアミノ基をトリフルオロアセトアミド基で保護した後、四糖を供与体へと変換した。この供与体とグルコシルセラミドをグリコシド化反応に供することにより、ガングリオシドGD2骨格を高収率にて得た。最後にGD2骨格の保護基を除去した後、ガラクトサミンの6位アミノ基に対して蛍光色素を導入することで蛍光GD2プローブの合成を達成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に計画していた蛍光ガングリオシドGD2の化学合成を達成することができたため、順調に進展していると考えている。次年度も当初の計画に従って研究を進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
癌関連ガングリオシドの分子プローブの合成を引き続き実施する。その後、生細胞上での分子プローブの機能評価を実施した後、細胞膜上での1分子イメージング、光架橋反応による親和性タンパク質の同定を実施する予定である。
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