2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23K05061
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
佐藤 浩輔 北海道医療大学, 薬学部, 准教授 (70415686)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 核酸化学 / 核酸ータンパク質相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では核酸-タンパク質相互作用部位の近傍に存在するLysやArg残基と架橋可能な新規架橋ヌクレオシドを創製し、DNAへ位置選択的に導入後、モデル標的タンパク質として転写因子であるSTAT3、HIF-1との架橋反応を試験管内(in vitro)、細胞内(in vivo)で検討する。最終的には他の核酸-タンパク質相互作用にも応用することで、本法の高い汎用性を明らかにし、阻害剤としても分子ツールとしても利用可能な包括的なコンセプトを提供することを目的としている。 2023年度はまず新規架橋ヌクレオシドの創製を目指し、2-アミノ-4-クロロピリミジン-C-ヌクレオシドの合成を行なった。合成した新規ヌクレオシドに対して、2-メルカプトエタノールに対する反応性を検討したところ、これまでのCl基を持つヌクレオシドの中で最も高い反応性を示すことを明らかにした。また、2-アミノ-4-クロロ-3-ホルミルピリジン-C-ヌクレオシドの合成を行い、2-メルカプトエタノールに対する反応性がこれまで合成した類縁ヌクレオシドの中で最も高く、2-アミノエタノールとも反応することを明らかにした。続いて2-アミノ-4-クロロピリミジン-C-ヌクレオシドをDNAに導入することに成功し、DNMTとの反応性についても検討した。2-アミノ-4-クロロ-3-ホルミルピリジン-C-ヌクレオシドについてはそのままでは反応性が高すぎて、DNA化学合成に不安定であったため、ホルミル基を1,2-ジオールとして、DNAへ導入し、DNA上でホルミル基へと変換する戦略でDNA合成を行うこととした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画では芳香族求核置換反応によりタンパク質と特異的に共有結合を形成する新規架橋ヌクレオシドのデザインと合成を2023年度に行うことになっていた。本年度は新規ヌクレオシドとして、2-アミノ-4-クロロピリミジン、2-アミノ-4-クロロ-3-ホルミルピリジンヌクレオシドの合成に成功し、その反応性を検討することができた。また、2-アミノ-4-クロロピリミジンヌクレオシドのDNAへの導入にも成功しており、タンパク質との反応も検討することができたため、概ね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は2-アミノ-4-クロロ-3-ホルミルピリジンヌクレオシドをDNAへ導入するとともに、新たなタンパク質標的との反応性について主に検討していく。また、これまでに合成していないケト基を有するウリジン型の新規ヌクレオシドの合成を完了し、その反応性を検討する。
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Causes of Carryover |
2023年度はほぼ予定通りに予算を消費した。2024年度使用額が生じたのは残金額が少なく、次年度予算と合わせることで、より有効に使用可能であると考えたためである。残予算は2024年度予算と合わせて、ウリジン型の新規ヌクレオシドの合成試薬の購入に用いる予定である。
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Remarks |
本学HP上にて「タンパク質と結合する核酸医薬品の創製」として取り上げられた研究内容紹介です。
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