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2023 Fiscal Year Research-status Report

酵素反応場でのジエノラート生成を基盤とする不斉合成プロセスの開発

Research Project

Project/Area Number 23K05067
Research InstitutionMeisei University

Principal Investigator

冨宿 賢一  明星大学, 理工学部, 教授 (70392090)

Project Period (FY) 2023-04-01 – 2026-03-31
Keywords生体触媒 / 不斉合成 / ブテノライド / 異性化 / ジエノラート / プロトン移動 / エナンチオ面選択性 / 光学活性物質
Outline of Annual Research Achievements

酵母Ogataea polymorpha NBRC 1476が触媒し、アキラルなβ,γ-不飽和ブテノライドから(S)-α,β-不飽和ブテノライドを生じる不斉異性化反応について研究を進めた。O. polymorpha NBRC 1476を用いる反応に対するγ-位のアルキル基の鎖長による影響を精査する目的で、炭素鎖長4以上のアルキル基を有する各種の長鎖ブテノライドを合成した。その結果、O. polymorpha NBRC 1476を用いる反応は、γ-位のアルキル基が炭素鎖長4のn-ブチル基程度の比較的鎖長の短い基質に対しては優れた活性を示すのに対し、炭素鎖長8のn-オクチル基以上の比較的鎖長の長い基質に対しては比較的高い選択性を保持するものの反応性を低下することが明らかになった。このため、反応性の低下を補うように基質量に対する酵素量を増加するなど、反応条件の精査が必要と考えている。
アキラルなβ,γ-不飽和ブテノライドから光学活性なα,β-不飽和ブテノライドを生じる生体触媒不異性化反応を合成の鍵段階として利用する生物活性天然有機化合物の合成として、微生物ホルモンとして知られるエバノライドの合成に取り組んだ。酵母Candida cacaoi NBRC 10231が触媒する微生物還元による還元的非対称化を利用して合成した光学活性なヒドロキシケトンから数段階の変換を経て、エバノライドの鎖状構造に相当するアルコールへと変換した。次いで、フランとカップリングし、TMS化後の酸化によりβ,γ-不飽和ブテノライドへと変換した。現在、β,γ-不飽和ブテノライドから(S)-α,β-不飽和ブテノライドへの生体触媒不斉異性化反応を検討している。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

酵母O. polymorpha NBRC 1476から不斉異性化反応を触媒する酵素を精製することはできたものの、その精製量が微量であったため、その性質や機能を解明するには至っていない。N末端アミノ酸解析により、一次構造の配列の予測はできたものの、酵素遺伝子のクローニングや酵素の可溶性発現が今後の課題である。
一方、生物活性天然有機化合物には、γ-位に炭素数8の側鎖を有するα,β-不飽和ブテノライド構造を含むものが数多く見出されている。これらのことから、γ-位のアルキル基の鎖長による影響については、興味深い結果が得られたものと考えている。
また、生体触媒によるジエノラート生成を活かす生物活性天然有機化合物の全合成についても、研究室独自の別の生体触媒反応を組み合わせる効率的な合成経路を立案できており、生体触媒反応の基質となる重要な中間体の合成を効率的に達成することができた。次年度以降に関連化合物の合成を含めて大きな進展を期待できる。
これらの結果から、現在までの進捗状況は、おおむね順調に進展していると判断できる。

Strategy for Future Research Activity

酵母O. polymorpha NBRC 1476から精製した不斉異性化反応を触媒する酵素のN末端アミノ酸配列を基に、酵素遺伝子のクローニングと酵素の可溶性発現に取り組み、酵素の大量調製を可能にする。精製酵素を用いて、その性質や機能を解明する。pH安定性や温度安定性、反応の至適pHや至適温度、反応速度論的パラメーターなどの酵素化学的な諸性質について精査する。構造中に様々な置換基を含む各種のブテノライドを合成し、基質適用範囲を精査する。可溶性発現による酵素の大量調製に成功するまでは、野生株からの精製酵素や粗酵素液を用いる。γ-位のアルキル基の鎖長による影響として低下する反応性を補うため、反基質量に対する酵素量の増加など、反応条件の精査を行う。
アキラルなβ,γ-不飽和ブテノライドから(S)-α,β-不飽和ブテノライドを生じる生体触媒不斉異性化反応を鍵段階として利用する生物活性天然有機化合物の合成に取り組む。微生物ホルモンとして知られるエバノライドの合成については、合成したβ,γ-不飽和ブテノライドから生体触媒不斉異性化反応により(S)-α,β-不飽和ブテノライドへと変換し、エバノライドの全合成を達成する。抗菌活性を示す新規ブテノライドとして放線菌Streptomyces sp. 4054から単離されたマイセノライドAについては、全合成による立体化学の解明を目指す。Sharpless不斉ジヒドロキシ化により合成したマイセノライドAの鎖状構造に相当する両エナンチオマーからβ,γ-不飽和ブテノライドへと変換する。これを、生体触媒不斉異性化反応により(S)-α,β-不飽和ブテノライドへと変換することにより、マイセノライドAの全合成を達成するとともに未解明な立体化学を明らかにする。

  • Research Products

    (2 results)

All 2024 2023

All Presentation (2 results)

  • [Presentation] 生体触媒反応を利用する微生物ホルモンエバノライドの合成研究2024

    • Author(s)
      杉本 圭伍、菱田 佳子、門奈 嵩士、櫻井 篤、角丸 啓悟、冨宿 賢一
    • Organizer
      日本化学会第104春季年会
  • [Presentation] 生体触媒反応を鍵反応に用いるエバノライドの合成研究2023

    • Author(s)
      杉本 圭伍、角丸 啓悟、櫻井 篤、門奈 嵩士、冨宿 賢一
    • Organizer
      第23回生体触媒化学シンポジウム in 鹿児島

URL: 

Published: 2024-12-25  

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