2023 Fiscal Year Research-status Report
天然成分α-Mangostinの難治乳癌に対する新規hedgehog阻害剤としての抗腫瘍効果の検討
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23K05084
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Research Institution | Osaka Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
濱岡 仁美 (黒瀬仁美) 大阪医科薬科大学, 医学部, 講師 (80545608)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | α-Mangostin / 乳がん / 天然由来成分 / hedgehog経路阻害剤 / 抗腫瘍効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
トリプルネガティブ乳がん(TNBC)は分子標的治療薬の標的となるHER2やホルモン療法の標的となるホルモン受容体を発現していないため、抗がん剤が第一選択となる。しかし、抗がん剤の奏効には個人差があり、奏効しない場合に治療が困難となる。TNBCを含む難治乳がんの再発および予後不良の原因のひとつとして、薬剤治療後に乳がん幹細胞様の細胞が残り、増殖を繰り返すことがあげられる。我々は最近の研究で乳がん幹細胞様の細胞を含むTNBC細胞株に対して天然由来成分α-Mangostin(αMG)が乳がんの増殖シグナルを抑制することで抗腫瘍効果を発揮することを明らかにした。αMGはAkt経路を介して乳がんの増殖を抑制しており、他にも増殖シグナルに関与する分子を標的としている可能性が示唆された。そこで、本研究では治療標的の候補としてがん幹細胞の生存や増殖・進展に関わるhedgehogシグナル経路に着目した。がんにおいてhedgehogシグナルの異常により体性幹細胞からがん幹細胞への転換が起こり、腫瘍化が促進されることが知られる。HedgehogシグナルはTNBCにおいて亢進しており、αMGの直接の標的もしくはAkt経路などを介した標的となる可能性が高い。これらのことからαMGがTNBCに対する新規hedgehogシグナル阻害剤として利用できると期待している。本研究の目的は、TNBC細胞株およびこの細胞株を移植して作製した乳がんモデルマウスを用いて、既存のhedgehogシグナル阻害剤とαMGの治療効果を比較し、αMGの新規hedgehogシグナル阻害剤としての評価を行うことである。本年度はTNBC細胞株を用いた実験系の立ち上げと基礎検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験系の立ち上げと基礎検討に時間を要したため、やや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
TNBC細胞株を用いて既存のhedgehogシグナル阻害剤とαMGの効果を、①hedgehog経路関連分子の発現への影響、②細胞増殖、細胞死、細胞周期への影響、③乳癌幹細胞マーカー陽性細胞への影響を解析することで比較し評価を行う。
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Causes of Carryover |
実験系の立ち上げと基礎検討に時間を要し、進捗が遅れたため、次年度使用額が生じた。遅れた分の計画と次年度に予定していた計画と遂行するために、翌年度分として請求した助成金と合わせて使用予定である。
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