2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23K05088
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大崎 雄介 東北大学, 農学研究科, 准教授 (40509212)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白川 仁 東北大学, 農学研究科, 教授 (40206280)
森 建文 東北医科薬科大学, 医学部, 教授 (40375001)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | ビタミンB6 / ピリドキサミン / 腎障害 / うっ血 |
Outline of Annual Research Achievements |
腎臓は体液量調整を介して循環血漿量の調整行う主要な臓器である。腎機能低下は脳血管疾患、心血管疾患、末期腎不全の独立した危険因子であることから、腎臓を保護することは生命予後とQOLの改善に重要である。これまで、ビタミンB6の一種であるピリドキサミンの投与は、虚血再灌流に誘導されるラット腎障害を改善することが報告されているが、他のB6同族体による改善効果については十分には検討されていなかった。 近年、心不全患者の中でも左心拍出量が保たれた心不全(HFpEF)患者数が増加していることが問題となっている。心不全患者において腎機能の低下は生命予後を悪化させる可能性が示唆されていること、静脈血のうっ滞は心不全患者における腎機能低下の1要因であることが示唆されていることから、心腎連関の機序解明から新たな心不全治療戦略の開発が期待される。 我々は腎静脈血流のうっ滞により誘導される腎障害モデル系において、ビタミンB6同族体の一種であるピリドキシンならびにピリドキサールのラットへの投与による改善効果について評価を行った。ビタミンB6同族体の一部は、腎静脈のうっ滞により誘導される腎障害マーカー遺伝子発現の一部を低減させたことから、ピリドキサミン以外のビタミンB6同族体も、うっ血により誘導される腎障害に対して改善効果を有する可能性が示唆された。 これに加えて、組織中のビタミンB6濃度評価系を確立すべく、蛍光HPLC法による組織中ビタミンB6濃度測定法の確立を試みた。組織中の遊離型ビタミンB6であるピリドキサール、ピリドキシン、ピリドキサミン濃度測定方法を一定程度評価可能な測定系が確立された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一部の腎障害が、ピリドキサミン以外のビタミンB6投与により改善される傾向が示されたこと、遊離型ビタミンB6濃度の評価系が構築されつつああり、研究は順調に進展しているものと考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度は、虚血再灌流モデルに対するピリドキサミン、ピリドキサール、ピリドキシン投与による改善効果の評価を行うとともに、飼料中のビタミンB6濃度を変更させることによってビタミンB6充足度の異なるモデル動物の作出を試みる研究を推進する予定である。
|
Causes of Carryover |
先にビタミンB6測定系の確立を試みたために後送りとした一部の動物実験を、次年度使用額をもとに、本年度中に実施する。
|