2023 Fiscal Year Research-status Report
葉酸摂取による免疫・アレルギー疾患予防法開発のための基礎的研究
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23K05118
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Research Institution | Chiba Institute of Science |
Principal Investigator |
岡本 能弘 千葉科学大学, 薬学部, 教授 (40261036)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 制御性T細胞 / 葉酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで葉酸の過剰摂取あるいは欠乏により免疫応答がどのように変動するのかは十分に解明されていない。本研究の目的は1.葉酸継続摂取の免疫機能への影響を解明すること。2. 葉酸受容体は細胞内部への葉酸の取り込みを担うタンパク質とされてきたが、制御性T細胞(Treg細胞)に特異的に発現する4型葉酸受容体(FR4)と免疫学的機能との関係は現状で不明であり、免疫機能におけるFR4の意義を解明すること。3. Treg細胞の機能を人為的にコントロールすることにより、アレルギー、自己免疫疾患の治療予防などにつなげる基礎的知見を得ること。以上3項目を挙げている。2023年度は主に、葉酸継続摂取の免疫機能への影響について検討した。健常C57BL/6Jマウス(4週齢、雌)に葉酸過剰含有飼料(葉酸1.5mg/g AIN-93G標準試料)を4週間自由摂取にて飼育後、マウス脾臓リンパ球中のFoxp3+細胞とそのPE-FoxP3の平均蛍光強度をフローサイトメトリーにて分析したところ、葉酸過剰摂取群マウスは標準試料摂取群マウスに比較し、FoxP3+細胞比率、PE-FoxP3の平均蛍光強度が増加した。この結果は葉酸過剰摂取により、制御性T細胞(Foxp3+細胞)が増加している可能性が明らかになった。さらにこれらマウスのリンパ球のサイトカイン産生能についてリンパ球懸濁液を抗CD3抗体および抗CD28抗体固相化プレート中で刺激した際の培養上清中IL-2、IFN-γ産生量について評価したところ、葉酸過剰摂取群マウスのIL-2、IFN-γ産生量は、標準試料摂取群マウスに比較し、低下していた。以上の結果から葉酸の摂取により、Treg細胞頻度が増加し、免疫制御機能が亢進することが推測された。また、Treg細胞の分化、あるいは機能発現にFR4が関係していることが推測された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は1.葉酸継続摂取の免疫機能への影響を解明すること。2. 葉酸受容体は細胞内部への葉酸の取り込みを担うタンパク質とされてきたが、制御性T細胞(Treg細胞)に特異的に発現する4型葉酸受容体(FR4)と免疫学的機能との関係は現状で不明であり、免疫機能におけるFR4の意義を解明すること。3. Treg細胞の機能を人為的にコントロールすることにより、アレルギー、自己免疫疾患の治療予防などにつなげる基礎的知見を得ること。以上3項目を挙げている。2023年度はこの3つの目的のうち1つ目について取り組み、研究実績の概要の項に記載した。ここまではおおむね順調と考えられる。残り2つの研究目的を達成するため、このまま予定通り取り組む。
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Strategy for Future Research Activity |
葉酸の過剰摂取でTreg細胞数の増加、および機能亢進がうかがえたので、さらに免疫機能におけるFR4の意義を解明するため、葉酸過剰摂取によるFR4の発現状況の解析、およびメカニズムの解明のため葉酸過剰摂取マウスと通常飼料飼育マウスからTreg細胞を分離し、それぞれの細胞を凍結粉砕、可溶化、抽出し、二次元電気泳動を用いて 個々のタンパク質を分離する。発現量に差異があるタンパク質のスポットをゲルから切り出し、当該タンパク質を同定する。同定タンパク質と 免疫機能との関連を検討する予定である。
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