2023 Fiscal Year Research-status Report
Induction of cellular senescence by lipid hydroperoxides and its regulation by food components
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23K05126
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
永塚 貴弘 東北大学, 農学研究科, 准教授 (30445895)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仲川 清隆 東北大学, 農学研究科, 教授 (80361145)
加藤 俊治 東北大学, 農学研究科, 准教授 (60766385)
伊藤 隼哉 東北大学, 農学研究科, 助教 (50781647)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 過酸化脂質 / 細胞老化 / テロメア |
Outline of Annual Research Achievements |
染色体末端テロメアの長さは、健常者と比較して糖尿病、動脈硬化症、肥満などの患者で有意に短いこと、テロメアの長いヒトは短いヒトと比べて長寿命であることが報告されており、テロメアと疾病・老化との関わりが注目を集めている。我々は、酸化を受けた脂質(過酸化脂質)がヒト線維芽細胞のテロメアを短縮させることを初めて見出したことから、過酸化脂質がテロメア短小化を介して正常細胞に対して老化を誘導する可能性が新たに示唆された。令和5年度は、各種培養細胞を用いて過酸化脂質による細胞老化の誘導を評価することを目的とした。過酸化脂質をヒト臍帯静脈血管内皮細胞(HUVEC)処理して継代培養を繰り返し、経時的に細胞からDNAを抽出後、サザンブロットとリアルタイムPCRによりテロメアDNAの長さを解析した結果、テロメア長の有意な短縮が観察された。老化マーカーとして知られているsenescence-associatedβ-galactosidase、p53、p21の発現が過酸化脂質処理で増大していたことから、過酸化脂質がHUVECの老化を促進することが明らかになった。細胞内の酸化ストレス状態を評価する蛍光プローブDCFH-DAを用いたところ、過酸化脂質によりHUVECの酸化ストレスが顕著に高くなっていた。以上より、過酸化脂質が細胞内の酸化ストレスを誘発し、テロメア短縮が生じて細胞の老化が促進されたと考えられた。本研究から、酸化ストレスを軽減する抗酸化物質の活用が過酸化脂質による細胞老化を抑制する可能性が示唆されたため、令和6年度以降にテロメアの短小化を抑制する食品成分の探索に取り組む予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
過酸化脂質によるヒト臍帯静脈血管内皮細胞の老化を確認できたため、令和5年度の研究目標を達成できた。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度に、過酸化脂質によるヒト臍帯静脈血管内皮細胞の老化を確認できたが、引き続き、他の細胞(例えば幹細胞)における細胞老化の誘導を評価する。また、過酸化脂質による細胞老化誘発の機構解明、過酸化脂質による細胞老化を抑制する食品成分の探索にも取り組む。
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Causes of Carryover |
研究が滞りなく進行し、研究室内に既に購入済みの試薬類で実験ができたため。残額については、細胞老化の機構解明のための試薬(細胞老化マーカーを調べるための抗体など)に使用予定である。
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