2023 Fiscal Year Research-status Report
Study of casein micelle structural characteristics on the processability of A2 milk (A2/A2 beta-casein milk)
Project/Area Number |
23K05134
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
岡 大貴 東京農業大学, 応用生物科学部, 准教授 (20600232)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | A2ミルク / β-カゼイン / κ-カゼイン / カゼインミセル / 乳加工 / ヨーグルト / チーズ / 酸凝固 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、A2ミルクにおけるカゼインミセルの構造特性を明らかにし、A2ミルクが乳加工性に与える影響を明らかにすることを目的としている。 原料であるA1およびA2ミルクは、本学富士農場および那須拓陽高校から生乳(未殺菌)を入手し分析を行った。得られた生乳のβ-caseinの遺伝子型(A1およびA2型)を選別するため、LC/MS/MSによる定性およびRP-HPLCによる定量方法の検討を行った。RP-HPLCにてβ-caseinのピークが2本(ピーク①、②)得られ、それぞれのピークを分取しキモトリプシンにて消化後、得られたペプチド断片をLC/MS/MSに供し、Mascot解析により同定を行った。その結果、ピーク①はA1型β-casein(同定されたペプチド断片:SLVYPFPGPIHN)、ピーク②はA2型β-casein(SLVYPFPGPIPN)であることが確認され、RP-HPLCにてβ-caseinの遺伝子型が異なる生乳の選別方法を確立することができた。 また、カゼインミセル表面の構造特性を評価するため、動的光散乱法にてミセルサイズを測定したところ、A1型よりA2型の方がミセルサイズが小さい傾向がみられた。しかし、A1型のサンプル数が少ないことから、今後生乳サンプルを増やし関連性を検討していきたい。β-caseinのほか、αS1-, αS2-, κ-caseinをRP-HPLCにて定量し、カゼインの各分子種の存在量とミセルサイズとの関連性を検討した結果、κ-caseinが多いほどミセルサイズが小さい傾向がみられた。 乳加工性の評価として、本年度は酸乳ゲルの評価を行った。その結果、β-caseinの遺伝子型との関係性は得られなかった。一方、遺伝子型は関係なく、全てのサンプルを用いて統計解析を行ったところ、ミセルサイズが小さい乳ほど酸乳ゲル強度が高くなる傾向を示した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
A1およびA2ミルクの選別方法を確立することができたほか、カゼインミセルの構造特性、酸乳ゲルの評価まで解析を進めることができ、当初の計画通り進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度、A1およびA2ミルクのカゼインミセルの構造特性を比較したが、A1ミルクのサンプル数が少なかったことから、両者に明瞭な差をみることが出来なかった。次年度以降、A1ミルクのサンプル数を増やし、引き続きカゼインミセルの構造特性および乳加工性(酸乳ゲル形成性、チーズカード形成性)を評価していきたい。
|
Causes of Carryover |
僅かに次年度使用額が生じたが、概ね計画通りで進んでいるため、次年度も計画通り執行を予定している。
|