2023 Fiscal Year Research-status Report
食物アレルギーによる気管支喘息の亢進機序の解明と食品成分による制御
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23K05135
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
津田 真人 日本大学, 生物資源科学部, 准教授 (50525681)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細野 朗 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (70328706)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 食物アレルギー / 2型自然リンパ球 / IL-33誘導性喘息 / 肺 |
Outline of Annual Research Achievements |
食物アレルギーの発症はその後の気管支喘息の発症リスク亢進や併発による喘息症状悪化に寄与することが示唆されているが、その詳細は不明である。本研究は食物アレルギーと気管支喘息を繋ぐ機序の解明を目指して、食物アレルギー誘導したマウスの肺2型自然リンパ球(ILC2)の機能的特徴および活性化機構の解明を目指している。 ①「食物アレルギー発症により気管支喘息が亢進するin vivo実験系の確立の検討」:食物アレルギーモデルであるOVA23-3マウスにおいて、ILC2が関与する好酸球性肺炎を引き起こすことが知られているIL-33誘導性喘息モデルを誘導し、この際のIL-33投与量や経鼻投与のタイミングの検討を行った。その結果、食物アレルギー誘導7日目からIL-33を1日1回0.5 ugを2日間または3日間マウスに投与した際に、エフェクター細胞としてはたらく好酸球の肺における増加・活性化や気道へ浸潤の亢進が認められた。 ②「食物アレルギー発症による肺ILC2の活性化の特徴と活性化機構の解明」:食物アレルギー誘導マウスの肺ILC2の活性化状態を特徴づけるため、フローサイトメトリーにより細胞表現型を解析した。その結果、食物アレルギー誘導マウス由来のILC2はいくつかのサイトカイン受容体の発現の上昇が観察された。次に、食物アレルギー誘導により肺ILC2の増加・活性化する機序を探るため、食物アレルギーの感作部位である腸管もしくは造血の場である骨髄におけるILC2の割合や活性化状態についても検討した。食物アレルギーを誘導したマウスの骨髄中ILC2の増加が観察され、食物アレルギーが骨髄におけるILC2分化促進に寄与している可能性が示唆された。また、ILC2の肺への移行に関与するケモカインの遺伝子発現を腸管、肺、骨髄細胞において解析したが、顕著な影響は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
①「食物アレルギー発症により気管支喘息が亢進するin vivo実験系の確立の検討」については、肺および気管支肺胞洗浄液中の好酸球に着目した細胞学的な解析を指標にして、食物アレルギー誘導によりIL-33誘導性喘息の反応が亢進する条件を概ね決定することができた。同条件において組織学的な解析も進めていく。 ②「食物アレルギー発症による肺ILC2の活性化の特徴と活性化機構の解明」については、 フローサイトメトリーによる解析を中心に、食物アレルギー誘導状態の肺ILC2の活性化状態についていくつかの知見を得ることができた。しかし、①の実験の検討に時間を要したため、当初予定していた食物アレルギー誘導したマウス、および、IL-33誘導性喘息マウスのILC2をそれぞれ単離して網羅的遺伝子発現解析を行うことが出来なかったため、次年度改めて行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
上述した食物アレルギー誘導したマウス、および、IL-33誘導性喘息マウスからILC2を単離し、網羅的遺伝子発現解析を行い、食物アレルギーにより調節される肺ILC2の機能に係る特徴的な遺伝子を探索する。 食物アレルギーによる肺ILC2の活性化における腸内細菌叢の関与について検討するため、食物アレルギー誘導前から抗生物質をマウスに投与して腸内細菌叢を破綻させた際の肺ILC2への影響を解析する。無菌マウスにおいても同様の解析を進めていく。
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Causes of Carryover |
「食物アレルギー発症により気管支喘息が亢進するin vivo実験系の確立の検討」の内容に時間を要したため、当初予定していた食物アレルギー状態、IL-33誘導性喘息状態のILC2をそれぞれ単離して網羅的遺伝子発現解析を行うことが出来なかったため、遅れが生じている。次年度の予算は同研究内容において、実験動物、細胞分離用キット、RNA抽出用キット等の購入、網羅的遺伝子解析の業務委託のために使用する。
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