2023 Fiscal Year Research-status Report
効率的な膜交通を支える小胞体-ゴルジ体間相互作用の分子機構
Project/Area Number |
23K05143
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高木 純平 北海道大学, 理学研究院, 助教 (80740331)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 膜交通 / シロイヌナズナ / 小胞体 / ゴルジ体 / COPII小胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
真核生物のオルガネラ間の物質輸送は膜交通によって支えられている.先行研究によって膜交通因子群が精力的に同定・解析されてきたものの,細胞内を動き回るオルガネラへといかにして効率的に選別輸送を行っているのか,その仕組みは未だ明らかではない.これまでの研究から,植物において小胞体膜上の輸送小胞形成ドメインERESが,流動する標的オルガネラであるゴルジ体によって一時的に捕捉されたのち解離するという現象を見出した.本研究では流動するオルガネラへの効率的な物質輸送機構を解明することを目指し,輸送小胞形成ドメインERESとゴルジ体の相互作用に着目し研究を進める.今年度はまずERESの捕捉・解離を担う鍵因子MAG3の動態解析を行った.その結果,MAG3がゴルジ体に捕捉されたERESと共局在を示す一方,ゴルジ体とは独立したERESには局在が見られないこと,ゴルジ体からERESが解離する際にもMAG3はゴルジ体近傍に留まったままであることが明らかになった.また,MAG3を用いて共免疫沈降・質量分析を行い,MAG3の相互作用因子を網羅的に探索した.その結果,MAG3の相互作用因子候補としてWPPを見出した.WPPは植物特異的な因子であり,シャペロン様の機能を有することが示唆されているものの,詳細な機能は未知である.今後,WPPとMAG3やゴルジ体との共局在解析を行うとともに,機能欠損変異体を用いた解析を進め,ゴルジ体によるERESの捕捉・解離やMAG3の細胞内局在制御におけるWPPの役割を明らかにしていく予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述の通り,ERESの捕捉・解離を担う鍵因子MAG3の詳細な動態を明らかにし,また,MAG3の新規相互作用因子として植物特異的な因子であるWPPを同定することができた.さらにERESとゴルジ体の境界に存在する因子を網羅的に探索するための近接依存性標識法に用いる形質転換体の作出も完了している.以上のことから,研究はおおむね順調に進展していると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
上述の通り,ERESの捕捉・解離を担う鍵因子MAG3の新規相互作用因子として同定したWPPの細胞内局在解析や,機能欠損変異体を用いた解析を進め,ゴルジ体によるERESの捕捉・解離やMAG3の細胞内局在制御におけるWPPの役割を明らかにしていく予定である.また,近接依存性標識法の条件検討を進め,ERESとゴルジ体の境界に存在する因子の網羅的探索も併せて進めていく予定である.
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Causes of Carryover |
当初の計画よりも近接依存性標識法に用いる形質転換体の作出に時間を要したため,今年度はMAG3の動態解析に注力した.近接依存性標識法に用いる形質転換体は無事に作出できたため,今後は,近接依存性標識法の条件検討とERESとゴルジ体の境界に存在する因子の網羅的探索,そして得られた相互作用因子の機能解析を推進するために使用する予定である.
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[Presentation] Analysis of SnRK1 functions in sugar responsive modulation of immunity in Arabidopsis2024
Author(s)
Linnan Jie, Ayumi Sugisaki, Shigetaka Yasuda, Kohji Yamada, Miho Sanagi, Mika Nomoto, Susumu Uehara, Yasuomi Tada, Yusuke Saijo, Junpei Takagi, Takeo Sato
Organizer
第65回日本植物生理学会年会
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