2023 Fiscal Year Research-status Report
植物の病害応答における細胞膜ナノドメインの分布制御機構の解明
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23K05155
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
長野 稔 立命館大学, 生命科学部, 講師 (80598251)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 細胞膜 / ナノドメイン / シロイヌナズナ / 免疫 / ステロール |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞膜には微小な脂質領域であるナノドメインが点在し、細胞膜タンパク質の多くがナノドメインに局在する。植物のナノドメインが耐病性に関与することが明らかとなっていたが、ナノドメインが植物免疫を制御する分子機構は未解明であった。これまでに、蛍光タンパク質プローブGFP-D4Lを用いることにより、病害応答時に細胞膜上のナノドメインの分布が不均一に変化すること、またナノドメインの分布変化には免疫受容体の動態が影響を与える可能性を見出した。本年度は、免疫受容体であるFLS2とBAK1の欠損変異体とGFP-D4Lを掛け合わせた系統を整備し、各変異体におけるナノドメインの分布を観察した。その結果が、fls2変異体においてナノドメインは通常時においても不均一な分布を示した。その一方で、bak1変異体においては、ナノドメインの分布は均一なままであった。また、イメージング解析により、FLS2とBAK1がナノドメインと共局在することも明らかにした。病害応答時にはFLS2はエンドサイトーシスによりナノドメイン上から減少するが、薬剤処理によりエンドサイトーシスを阻害すると、FLS2がナノドメイン上に留まるとともに、ナノドメインの分布は均一であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、受容体変異体におけるナノドメインの分布を明らかにした。また、受容体のナノドメイン局在および、エンドサイトーシスとナノドメインの関係も明らかにすることができた。そのため、順調に進行したと評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
病害応答時のエンドサイトーシスとナノドメイン分布の関係を調べるために、ダイナミンタンパク質DRP1aのドミナントネガティブ型を用いた解析を行う。そのための系統の準備は現在進めている。また、受容体以外の免疫タンパク質のナノドメイン局在解析も行う。また、ナノドメイン動態を制御する因子の探索を行う。
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Causes of Carryover |
2023年度の後半は共焦点レーザー顕微鏡が故障してしまい、顕微鏡観察実験を予定通り行うことができなかった。2024年度は顕微鏡観察を中心に研究を行う。
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Research Products
(18 results)