2023 Fiscal Year Research-status Report
Elucidating the genetic mechanism controlling the growth of primary and lateral roots in soybean
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23K05172
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Research Institution | Japan International Research Center for Agricultural Sciences |
Principal Investigator |
許 東河 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, 生物資源・利用領域, 主任研究員 (90425546)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朴 チョル 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, 生物資源・利用領域, 任期付研究員 (00886913)
本間 香貴 東北大学, 農学研究科, 教授 (60397560)
田島 亮介 東北大学, 農学研究科, 准教授 (60530144)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ダイズ / 主根 / 側根 / 遺伝的機構 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、異なる根系形質を示したダイズ遺伝資源に由来する各種の交雑分離集団を用いて根系形質に関連するQTLを検出した。具体的には、既存の「Fendou 16 × K099」に由来するF6世代の組み換え近交系統(RIL、n = 94)集団と「Jackson × JWS156-1」に由来するBC4F6世代の染色体断片置換系統(CSSL、n = 123)集団を用いて、水耕法により根系形質(主根長、側根数、根体積、根端数、総根長、総根バイオマスなど)の評価を行った。側根数、根体積、根端数、総根長の測定など形質の測定は根画像解析装置WinRHIZOを用いて行った。また、DNAマーカーと次世代シーケンス解析(GRAS-Di)を行い、より高密度遺伝連鎖地図を作成し、ダイズ根系形質に関連するQTL解析を行った。QTL解析には、IciMappingソフトウェアを用いて行った。 QTL解析の結果、「Fendou 16 × K099」のRIL集団において、第6、7、11、14、15、19染色体上に計10個の根形質QTLが検出された。そのうち、第7染色体に上に座上する根長および根端数に連鎖するQTLは、異なる生育環境条件下でも検出され、寄与率は15.92~27.24であり、効果の大きい主要な根形質QTLであった。 また、Jackson × JWS156-1」に由来するCSSL集団において、第1、12、17、18染色体上に計5つの根形質QTLが検出された。これらのQTLの寄与率は7.29~17.88%であった。第18染色体上に座上する根長QTLでは、野生ダイズ(JWS156-1)の対立遺伝子が増加効果を示した。一方、他の4個のQTLでは、栽培ダイズ(Jackson)の対立遺伝子が増加効果を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ダイズ根長形質QTL解析について、2つの雑種分離を用いて根長に関連するQTLを検出した。具体的には、「Fendou 16 × K099」のRIL集団において、第6、7、11、14、15、19染色体上に計10個の根形質QTLが検出された。そのうち、第7染色体に上に座上する根長および根端数に連鎖するQTLは、異なる生育環境条件下でも検出され、寄与率は15.92~27.24であり、効果の大きい主要な根形質QTLであった。 また、Jackson × JWS156-1」に由来するCSSL集団において、第1、12、17、18染色体上に計5つの根形質QTLが検出された。これらのQTLの寄与率は7.29~17.88%であった。第18染色体上に座上する根長QTLでは、野生ダイズ(JWS156-1)の対立遺伝子が増加効果を示した。一方、他の4個のQTLでは、栽培ダイズ(Jackson)の対立遺伝子が増加効果を示した。 本研究で得られた知見は、今後の研究課題においてダイズの根の成長を制御する遺伝的な機構の研究の推進に活用できる。これらのことから、本研究はおおむね順調に進展していると認める。
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Strategy for Future Research Activity |
1.根の成長を制御する候補遺伝子の同定。大規模な交雑分離集団の解析により同定されたQTLをさらに絞り込む。また、戻し交配やResidual Heterozygous Lines法を利用して根長QTLのNILsを作成し、QTLの効果を確認するとともに、次世代シーケンサー技術(RNA-Seq解析)を用いて遺伝子の網羅的な解析を行う。加えて、公開されたダイズのゲノム情報を活用して、候補遺伝子を選定する。 2.候補遺伝子の機能解析。同定した候補遺伝子の発現量解析を行う。根長のNILsおよび元親品種系統を用いて、主根、側根、茎、葉など異なる器官において候補遺伝子の発現量を解析し、異なる根系形質を示したダイズ系統における遺伝子発現のパターンを比較し、候補遺伝子の機能を明らかにする。 3.ダイズのゲノム編集系統あるいは形質転換系統の作成と遺伝子の機能検証。ダイズのゲノム編集系統を作成し、目的遺伝子をノックアウトして候補遺伝子の機能を検証する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、購入した一部の消耗品の実際の納品価格は、定価よりも低かった。使用計画につきまして、次年度にはダイズの根の形質に関連する遺伝子の機能解析にかかる経費に充てる。
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