2023 Fiscal Year Research-status Report
Molecular genetic verification of the local growing spreading and the horticultural application of Nawasiro-ichigo(Rubus parvifolius L.)
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23K05210
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
國武 久登 宮崎大学, 農学部, 教授 (80289628)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ラズベリー / ナワシロイチゴ / ITS / トカラ線 / 系統樹 / 遺伝資源 / 三倍体 / フローサイトメトリー |
Outline of Annual Research Achievements |
ラズベリーの育種素材である在来野生種ナワシロイチゴに着目し,全国から収集・保存し,種内の遺伝的多様性を評価した.その結果,葉緑体ゲノムのMatK領域にはほとんど変異がないものの,核ゲノムのITS領域では琉球諸島の系統に特異的な変異があり,系統樹においてクラスターが確認された.また,北海道,中部および九州の系統と比較して,琉球諸島で異なる遺伝子型頻度が確認された.これら結果から,日本に自生するナワシロイチゴは種内に多様な遺伝子型が存在することが明らかとなった.そこで、令和5年度は,南西諸島に自生するナワシロイチゴに注目し,宝島(鹿児島県鹿児島郡十島村)と徳之島(鹿児島県大島郡徳之島町)において調査を行った.その結果,両島でナワシロイチゴの生息を確認することができ,宝島で6系統,徳之島で20系統をサンプリングし,それぞれ6系統と19系統が活着し,遺伝資源ライブラリーに導入できた. フローサイトメトリー解析により,倍数性を評価したところ,宝島の6系統のうち1系統は三倍体,1系統は二倍体と四倍体の周縁キメラ,その他は二倍体であった.また,徳之島の18系統のうち,8系統は三倍体(44.4%)であり,その他は二倍体であった.奄美大島同様に(三倍体出現率35.5%),徳之島でも高い頻度で三倍体が出現しており,非還元配偶子の関与が考えられ,その発生に遺伝子型や環境の影響がある可能性がある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①ナワシロイチゴの遺伝資源の収集と分子遺伝学的解析 令和5年度は遺伝資源の収集が進んでいない琉球諸島トカラ列島周辺の島々から遺伝資源を収集する予定であった.目標とした30サンプルには届かなかったが,琉球列島の宝島と徳之島において25サンプルを収集し,遺伝資源ライブラリーに導入することができた.また,フローサイトメトリーにて倍数性の推測を行い,多くの三倍体が生息することを明らかにした.また,ナワシロイチゴの遺伝子解析について,まずDNA抽出はMimura et al.(2014)の方法に従い,CTAB法により抽出後,Okada et al.(2019)の方法に従い,ITS領域のシークエンス解析を行う予定で研究を進めている.全国から収集した149個体のDNAを改めて抽出し,準備を完了した.今後,Simple sequence repeat(SSR)解析とMIG-Seq解析 も含めて検討する予定である.以上の進捗状況から予定通り,研究は進展していると思われる. ②ナワシロイチゴと赤ラズベリーとの種間交雑と温度適応性の遺伝的評価 赤ラズベリー標準株‘インディアンサマー’を種子親として,採取地の異なる系統を花粉親として交配を行う予定であった.予定していた耐寒性を有する北海道株HKI21-13と耐暑性を有する沖縄株OKN21-5が開花せず,鹿児島株KGS20-10との交雑を行い,MS培地での胚培養後,種間雑種を多数育成することができた(発芽率16.2%,発芽数:32個体/播種数:197粒).今後,耐寒性を有する北海道株と耐暑性を有する沖縄株を複数育成・開花させ,赤ラズベリー標準株‘インディアンサマー’との交雑を行いたい.以上のように,本小課題はやや遅延している.
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Strategy for Future Research Activity |
①ナワシロイチゴの遺伝資源の収集と分子遺伝学的解析 令和6年度は,継続して琉球諸島トカラ列島周辺の島々から遺伝資源を収集する予定である.現在,令和6年5月に悪石島(鹿児島県鹿児島郡十島村)の調査を予定している.また,年度中に,渡瀨線に近い小宝島(鹿児島県鹿児島郡十島村)や中国・四国地方でのサンプリングを計画している.活着した系統からフローサトメトリーによる倍数体解析とともに,酵素解離法(Fukui, 1996)による根端の染色体観察を行う予定である. また,サンプリングした宝島,徳之島および悪石島の系統からCTAB法によりDNA抽出を行い,九州,本州および北海道系統と系統樹上で比較する.ITS領域やMatK領域他のシークエンス解析だけでなく,Simple sequence repeat(SSR)解析とMIG-Seq解析 も含めて検討する予定である. ②ナワシロイチゴと赤ラズベリーとの種間交雑と温度適応性の遺伝的評価 赤ラズベリー標準株‘インディアンサマー’を種子親として,採取地の異なる系統を花粉親として交配を行う予定である.耐寒性を有する北海道株HKI21-13等が開花しない可能性があり,東北地方などの系統を含めて花粉親にする予定である.
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