2023 Fiscal Year Research-status Report
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23K05222
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
佐藤 達雄 茨城大学, 応用生物学野, 教授 (20451669)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 義人 茨城大学, 農学部, 教授 (90222067)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Keywords | キュウリ / 収穫後生理障害 / 糖飢餓 / シンク・ソースバランス / サイトカイニン |
Outline of Annual Research Achievements |
キュウリを保存中に発生する先端肥大症による変形は果実の発育段階と植物ホルモンの不調和によって引き起こされる可能性があることから、サイトカイニン(CPPU)処理と無処理それぞれの果実の成長を比較するとともに先端肥大症を発症した果実、未発症の果実の植物ホルモン関連ならびに糖飢餓関連遺伝子の発現解析を行った。CPPUを開花日の雌性花に塗布すると果実の生育が促進され開花から収穫までの日数が短縮し、先端肥大症の発生は抑制された。一方、収穫後の果実に対するCPPU処理は効果がなかった。栽培試験の結果では、肥大が早い果実ほど先端肥大症を発症しやすい傾向があったが、果実の幼若性は先端肥大症の直接の要因ではなく、植物ホルモンの果実への流入、果実内での合成能力獲得のタイミングと収穫のタイミングの関係であることが示唆された。CPPU処理によりオーキシンおよびエチレン関連遺伝子の発現は変化せず、発症果ではCPPU処理の有無に関係なく7種類の供試遺伝子のうちCsSEF1遺伝子の発現レベルが低かった。CsSEFI1遺伝子はキュウリの変形果における糖飢餓のマーカーとして報告された遺伝子であり、呼吸が抑制されると発現レベルが増加する。そこで先端肥大症を顕著に抑制することが知られているMA包装フィルムを用いてキュウリを保存し、CsSEF1遺伝子の発現を調べたところ、CPPU処理と同様、先端肥大症の発症果では発現レベルは低かった。したがって本遺伝子は先端肥大症の発症マーカー遺伝子として利用可能であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究は順調に進捗しており、先端肥大症の発生原因をシンク-ソースバランスから、植物ホルモンバランスに絞り込むことができた。これまでの成果は米国園芸学会2023年度年会(8月、オーランド)で発表された。
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Strategy for Future Research Activity |
サイトカイニンが先端肥大症の発症抑制に作用していることは判明しており、発症はサイトカイニンの不足によるものなのか、サイトカイニン活性の抑制によるものなのかを中心に解析していく。そこで発症果、未発症果を用いて各種サイトカイニン、オーキシンの分析を行い、各ホルモンのバランス、量が発症に及ぼす影響を考察する。
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Causes of Carryover |
主な理由は旅費と人件・謝金の節減である。本研究の一部を担当する大学院生が入学したことで現地調査や雇用、委託の必要がなくなった。節減分については次年度以降の現地調査、学会発表等に充当する。
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