2023 Fiscal Year Research-status Report
難培養植物病原細菌の膜タンパク質再現系の開発による昆虫媒介分子機構の解明
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23K05237
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
前島 健作 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (20726062)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ファイトプラズマ / 膜タンパク質 / 昆虫宿主 |
Outline of Annual Research Achievements |
ファイトプラズマは植物の篩部細胞内に寄生する病原細菌で、1000種以上の植物に感染し、世界各地の農業生産に深刻な被害をもたらしている。ファイトプラズマは昆虫にも感染し媒介されるというユニークな性質を持つ。ファイトプラズマは退行的進化によりゲノムサイズが縮退し多くの遺伝子を欠失しており、限られた遺伝子を使い分けて植物・昆虫の両宿主に寄生している。感染成立の分子メカニズムの解明には学術的にも新たな植物保護技術の確立のためにも興味が持たれているが、ファイトプラズマは培養と形質転換が困難であり、媒介昆虫も実験材料として扱いづらいため、昆虫媒介の分子機構に関する知見は、ファイトプラズマの全ゲノム解読から20年が経った現在でも未だ乏しい。そこで本研究では、これまでにないファイトプラズマ膜タンパク質の機能解析系を確立することで、本細菌の昆虫媒介メカニズムを分子レベルで解明することを目指す。 本年度はファイトプラズマ膜タンパク質の機能解析系に向けて、膜タンパク質の発現系の構築に取り組んだ。必要な細菌株を入手し安定的に継代することに成功するとともに、膜タンパク質の発現に必要なプラスミドベクターの構築を進めた。 加えて、膜タンパク質と同様にファイトプラズマ細胞外へと分泌されるタンパク質の機能解析を進め、宿主因子との複合体形成パターンにファイトプラズマ間で差があることを見出し、これまで知られていなかった機能メカニズムを解明するなどの成果を挙げた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
必要な実験材料の入手をすることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、実際に膜タンパク質の発現・検出と機能解析を計画している。
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Causes of Carryover |
次年度に消耗品の購入に充てる予定があるため。
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