2023 Fiscal Year Research-status Report
無性生殖寄生蜂の遺伝的多様性はどのように刷新されるのか?
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23K05260
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
前藤 薫 神戸大学, 農学研究科, 名誉教授 (80346238)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Keywords | 寄生蜂 / 無性生殖 / 部分有性 |
Outline of Annual Research Achievements |
農林業害虫の重要な天敵である寄生蜂には、通常の有性生殖のほか、メスだけで無性生殖する種や系統の存在が知られている。無性生殖は増殖率が大きく天敵として好ましい性質だが、交配選抜による遺伝的改良が出来ないという難点がある。これまで無性系統は遺伝的に孤立したものと思われていたが、最近の遺伝学的な調査によって、寄生蜂の無性系統には相当な遺伝的変異があり、有性集団から無性系統に遺伝子が流入している可能性が示唆されている。本研究では、有性集団がもつ多様な遺伝的性質を無性系統に取り入れて優秀な天敵を作出するために、有性集団から無性系統に遺伝子が移行する機構を解明したい。そのために、有性集団と同所的に生息する無性系統について詳細な遺伝解析を行うとともに、無性系統のなかに一時的に有性生殖を行う部分有性系統が存在していればその生殖機能を解明する。 本研究では、チョウ目幼虫の広食性寄生蜂であるギンケハラボソコマユバチ(Meteorus pulchricornis)に注目する。初年度は、四国香川県にある有性集団と無性系統の混生地(大豆圃場)において宿主幼虫(ハスモンヨトウ)を採取し、産卵飼育実験によって生殖型を判別した。その結果、61メスの無性生殖個体と14メス17オスの有性生殖個体を得た。部分有性系統を探索するため、無性生殖系統のメスに多数の宿主を与えて産卵させ、羽化する子世代にオス個体が含まれないか調べたが得られなかった。さらに、無性生殖系統のメスに有性オスを同居させたのちに産卵させて子世代の性を調べたが、やはりオスは得られなかった。これまでのところ、部分有性系統は確認できていない。だが、詳細な遺伝解析を実施するに足りる多数の同所的な無性・有性個体を確保できる目途が立った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
詳細な遺伝解析を実施するに足りる多数の同所的な無性・有性個体を確保できる目途が立った。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き採集時期や飼育条件を変えて部分有性生殖系統の探索を試みる。また、次世代シーケンシングに精通した研究者を課題分担者に加えて、有性・無性生殖系統の詳細なSNP解析に着手する。2024年8月に開催される国際昆虫学会議において、これまでの一連の研究成果を報告する。
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Causes of Carryover |
次世代シーケンサ―による遺伝解析の着手が次年度となった。また、次年度に国際昆虫学会議において成果発表を行う。
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