2023 Fiscal Year Research-status Report
生物間相互作用を用いたバイオリソース開拓技術の開発
Project/Area Number |
23K05269
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
田中 靖浩 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (50377587)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠山 忠 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (60431392)
森 一博 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (90294040)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 未培養・難培養性微生物 / 珪藻 / バイオリソース |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、バイオリソース開拓の観点から、未だに培養法が確立されていない、あるいは培養が困難な「未培養・難培養性微生物」を生物間の相互作用により分離培養化する技術を開発し、この技術を用いることで系統的に新規な微生物だけで構成される微生物ライブラリーを構築することを目的としている。本年度は、珪藻(Achnanthidium minutissimum)と微生物間の相互作用を利用した「珪藻-微生物共培養法」の開発を進め、本方法によって河川水などの環境試料から難培養性の細菌群として知られるVerrucomicrobiota門に属する菌株をはじめ、多数の系統的に新規な細菌(16S rRNA遺伝子が既知種由来の当該配列と98.7%以下の菌株)の取得に成功した(3つの環境試料から計163株)。またその一方で、新たな「未培養・難培養性微生物」分離培養法の開発に使用する微細藻類の取得についても検討し、Chlorococcum属、Tetradesmus属に近縁な2株の取得に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では、生物間の相互作用を利用した新しい「未培養・難培養性微生物」の開発に加え、その方法により系統的に新規な微生物を300株以上取得することを目標値としている。上述のように現段階で1種の「未培養・難培養性微生物」分離培養技術の開発に目処がつくとともに、系統的に新規な微生物の取得数が目標値の約1/2に達している。そのため「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
現段階で「おおむね順調に進展している」ことから、今後は当初の計画どおりに進める。 すなわち、2024年度は2023年度と同様に生物間の相互作用を利用した新しい「未培養・難培養性微生物」の開発を進めつつ、系統的に新規な微生物ライブラリー(バイオリソース)を拡充する予定である。また、最終年度となる2025年度に関しては取得したバイオリソースの有用性(植物・微細藻類生育促進能、多糖類分解活性、二次代謝産物生産能などから選定)を評価する。
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Causes of Carryover |
当初は珪藻以外にも微細藻類、水生植物を用いた新しい「未培養・難培養性微生物」の分離培養技術開発について検討する予定であったが、想定していた研究協力者の人数が減ったことから(大学院1名が諸事情で休学)、珪藻のみでの検討となったことが影響している(ただし、珪藻を用いた方法が「未培養・難培養性微生物」の分離に効果的であったことから、本研究課題の進捗には影響は出ていない)。 繰り越しとなった予算については、2024年度以降に新たに研究協力者を確保した上で、珪藻以外の生物を用いた「未培養・難培養性微生物」の分離培養技術開発に用いる予定である。
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