2023 Fiscal Year Research-status Report
アオウミガメの初期生活史における温度ストレスへの耐性の評価
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23K05273
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西澤 秀明 京都大学, 情報学研究科, 助教 (40770730)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | アオウミガメ / 心拍計測 / 温度 |
Outline of Annual Research Achievements |
小笠原諸島父島にて8~9月に調査を実施し、アオウミガメ巣内温度の計測を実施した。また、東京都からの許可のもとアオウミガメ卵を採取し、実験室へと輸送した。実験室内の温度を管理した孵卵器にて卵のモニタリングを実施した。赤外線を用いた胚からの非侵襲的な心拍計測を実施し、これが可能であることを確認するとともに、周囲の温度が上昇すると心拍数が増加する様子も確認できた。また、6時間毎の心拍計測も実施し、日周的な心拍数の変化について調べることができた。さらに、クラッチ間での心拍数の違いも確認することができた。巣内温度や孵卵期間の心拍数への影響について、検討するためのデータも取得しており、今後データ解析を進めていく。これは、アオウミガメの発生に温度が与える影響や、温度耐性を評価するうえで重要なデータとなると考えている。 また、孵化したアオウミガメ個体の運動能力の計測を実施した。まず、実験的な環境や野外で模型を使って孵化幼体の対捕食者行動を評価する実験を実施した。次に、野外でドローンを用いた孵化幼体の追跡実験をおこない、遊泳への潮流等の影響について評価することできた。これらの生理・行動学的な特徴と巣内温度との関係について評価するためのデータを取得しており、引き続きデータ解析を進めていく。これは、孵卵温度が発生だけでなく孵化後の行動にどのような影響をもたらすかを考えるために重要なデータとなると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた複数地点での調査は実施できなかったが、父島に長期滞在することによって、巣内温度から孵化後の行動までを一貫して調べることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、巣内温度から孵化後の行動までを一貫して調べていく。データ解析をさらに進め、成果の公表にも取り組んでいく。
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Causes of Carryover |
おおむね予定通りの物品購入、調査を実施することができたが、物品を想定よりも安価調達できた一方で、燃油費等の高騰によって想定よりも旅費を多く支出することになった。そのなかで、わずかに次年度使用額が発生することになった。燃油費等の高騰は引き続き生じることが想定されるため、次年度使用額は旅費の増加分に充てることを計画している。
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