2023 Fiscal Year Research-status Report
Habitat restoration of <i>Iris rossii</i> with the cooperation of stakeholders
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23K05284
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
内藤 和明 兵庫県立大学, 地域資源マネジメント研究科, 准教授 (50326295)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 天然記念物 / 維持管理 / モニタリング / 担い手 |
Outline of Annual Research Achievements |
国指定天然記念物である沼田西エヒメアヤメ自生地において,自生地内のエヒメアヤメの個体を識別し標識し,個体サイズ(苗条本数),花数,果実数を記録した.また,各個体の位置において全天空写真を撮影し光条件(空隙率および直射光の透過時間)を解析により求めた.GLMによるモデル解析を行なった結果,個体サイズには空隙率が負の影響を及ぼしていた.これは,光条件が個体の生長だけでなく発芽定着個体の数にも関係し,光環境がよい場所には小サイズの個体が多く出現していたためと思われる.個体の花数には個体サイズと直射光の透過時間が正の影響を及ぼしていた.また,花数の影響を排除して解析したところ,個体の果実数には個体サイズが正の影響を及ぼしており,光環境による影響は検出されなかった.以上より,エヒメアヤメ個体群の回復を図るには,個体サイズの増大と同時に,光環境を改善し個体当たりの花数あるいは総花数を増加させる必要が示唆された.これらの結果を参照し,管理者である教育委員会および管理の担い手である保存会関係者が参加する意見交換の場を設け,樹木を伐採することにより光環境を改善する方策について検討した.続いて最初の試みとして,林縁部あるいは草原部分に位置しエヒメアヤメへの被陰の度合いが高く,かつ伐採した後に搬出が可能と思われる高木(アベマキ,コナラ,クリなど)を13本選定した.これらの樹木を冬期に伐採して光環境の改善を図った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
個体群の初期調査,関係者との意見交換を行い,樹木の伐採に着手できたため.
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Strategy for Future Research Activity |
個体群のモニタリング調査を行うとともに,樹木の伐採範囲の拡大を検討する.
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Causes of Carryover |
研究調査地の関係者による調査補助が得られたため旅費や人件費の支出が予定よりも少額であったため次年度以降の計画の中で執行する.
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