2023 Fiscal Year Research-status Report
マシンビジョンを用いた訪花昆虫常時観察による送粉サービスの時空間的評価
Project/Area Number |
23K05295
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
大久保 悟 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境研究部門, グループ長 (30334329)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 羽ばたき周波数 / 訪花昆虫 / フーリエ解析 / 高フレームレートカメラ |
Outline of Annual Research Achievements |
訪花昆虫の羽ばたきを高フレームレートカメラで捉えて即時解析し、果樹園等で訪花昆虫の種類と活動数をモニタリングする手法を開発するために、初年度は主要な訪花昆虫8種群(ミツバチ類、クマバチ類、小型ハナバチ、ハナアブ類、ヒラタアブ類、コウチュウ類、チョウ類)について、訪花前後の羽ばたき周波数を計測した。所属組織内の実験圃場に栽培した緑肥作物でセイヨウミツバチの蜜源としても頻繁に利用される、シロガラシ(アブラナ科)およびハゼリソウ(ムラサキ科)において飛来する訪花昆虫を一秒間に1000から1500フレーム撮影可能な高フレームレートカメラを用いて撮影し、一往復の羽ばたきに要するフレーム数から羽ばたき周波数を求めた。訪花昆虫種群で比較すると、ヒラタアブ類の羽ばたき周波数は大きく、セイヨウミツバチがそれに続く周波数であることがわかった。昆虫種群によって明らかに周波数が違うものがある一方で、150Hz前後にいくつかの種群が固まっており、この場合、周波数の解析だけでは種群の識別は困難なことがわかった。セイヨウミツバチの羽ばたき周波数(200から240Hz)に注目してシロガラシの栽培圃場を広域撮影してピクセル単位で輝度値変化のフーリエ解析したところ、セイヨウミツバチによる訪花行動、訪花数を抽出することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、順調に研究計画を進められている。とくに、今年度予定していた複数の訪花昆虫種群の羽ばたき速度を計測することができた。また、広域撮影動画でのピクセル単位で輝度値変動周波数解析を行うプログラムも作成でき、次年度以降のモニタリングシステムの精度検証に着手できる。
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Strategy for Future Research Activity |
予定通り初年度の計画が実施できたため、予定していた訪花昆虫モニタリングシステムの開発を進め、精度検証に必要なデータ収集を行う。一部の訪花昆虫種群は羽ばたき周波数が近接しており、羽ばたき周波数だけでは種群の識別が困難なことがわかったため、画像の物体検知による訪花昆虫種群の識別も合わせて検討する。
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Causes of Carryover |
学会の全国大会において成果発表を行う予定であったが、成果のとりまとめが遅れて発表できなかったため、旅費の残金が多く発生した。次年度は高フレームレートカメラを更新し、成果発表に必要な旅費および英文校閲に充てて、適切な予算執行に努める。
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