2023 Fiscal Year Research-status Report
Why does the outbreak of Saturnia japonica occur in Hokkaido?
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23K05298
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
松木 佐和子 岩手大学, 農学部, 講師 (40443981)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | クスサン / 寄生蜂 / 大発生 / アンケート調査 / ウルシ林 / クリ林 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究初年度である2023年度は、これまで岩手県内で行って来た調査に加え、北海道での調査を開始した。 <北海道におけるクスサン大発生分布域の調査>2022年から道内においてクスサン成虫の発生報告が相次いだことから、2023年秋に北海道全市町村に対して電話および郵送によるアンケート調査を行った。その結果、2022年よりも2023年の方が分布域が若干東に移行する傾向が見られた。前回の2006年から始まった大発生の発生パターンも過去の新聞記事や文献から追跡し、今回の発生パターンとの相違点を比較する。 <寄生昆虫に関する調査>2023年4月に孵化前のクスサン卵塊を北海道と岩手県内の多地点で採取した。多くの卵塊から卵に寄生するタマゴバチの発生が見られたが、岩手県内では平均して10%ほどの寄生率であったが、北海道では1%に満たない寄生率であった。また、同様に他地点で蛹を採取して発生する寄生昆虫を調べたが、発生した寄生昆虫は岩手県内のみの1個体だけだった。2024年度以降も卵や蛹の採取地点を増やし、寄生率の傾向を見る。 <岩手県内におけるウルシ林およびクリ林に対するクスサン初齢幼虫の選好性>これまでの実験よりウルシ葉のみで飼育されたクスサン幼虫はクリと同様かそれ以上の成長を見せることがわかっている。ウルシはクリよりもさらに開葉が遅いため、クスサン孵化と開葉タイミングが初齢幼虫の成長にとって重要となる。調査の結果、クスサン孵化とウルシの開芽はほぼ同時で、開葉の少し早いクリの方が餌として有効と考えられた。しかしウルシは開芽してから開葉までのスピードが早く、ウルシ葉上のクスサン初齢幼虫の成長はクリ葉上の幼虫と遜色なかった。 <遺伝子解析のためのクスサンサンプリング>全国からクスサン発生の情報およびサンプル標本の提供を依頼し、新潟県など新たな地点からもサンプルの提供を受け解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年から発生したクスサン大発生が2023年も継続しているため、北海道でのクスサン発生に関するアンケート調査に関して有効な結果が得られた。 クスサンの天敵に関しては、卵、幼虫、蛹のステージの寄生性昆虫を見たが、卵に寄生する寄生蜂について北海道と岩手県での差異が顕著に見られ、興味深い結果が得られた。 一方で、遺伝解析のための北海道以外でのクスサン標本については情報不足や自ら捕獲を行う調査を実施できなかったため、思うようにサンプルが集まっていない。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度も継続して北海道で発生しているクスサン分布状況をアンケートや現地調査によって追跡し、分布域の移動パターンを調べる。北海道やそれ以外の日本全国における、クスサンの過去の発生状況についても新聞記事や試験場報告などから追跡している。 寄生性昆虫については、特に卵寄生性のタマゴバチについて北海道と岩手県との間で顕著な違いが見られたことから、継続してサンプル数を増やしていく。 今年度は遺伝解析用のクスサン標本の収集に力を入れ、発生情報を元に現地を訪れてサンプリングを行うなど積極的に行いたい。
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Causes of Carryover |
2023年度は遺伝解析のためのクスサン標本を採集するために北海道・岩手県以外も訪問する予定だったが、他の研究教育業務のため時間を捻出することができなかった。今年度は積極的に他県にも赴き、サンプル収集に努めたい。
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