2023 Fiscal Year Research-status Report
潜む”芽”と伸びる”枝”の成り立ちから探る樹木萌芽更新の実現可能性
Project/Area Number |
23K05307
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Research Institution | Forest Research and Management Organization |
Principal Investigator |
小笠 真由美 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (10646160)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三木 直子 岡山大学, 環境生命自然科学学域, 教授 (30379721)
山下 直子 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (70353901)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 潜伏芽 / 養分動態 / 萌芽枝 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、萌芽枝発芽前の“芽”と発芽後の“枝”の成り立ちに着目し、潜伏芽の発生消長を解析し、潜在的な萌芽更新の実現可能性を種間、および種内で比較検討するとともに、萌芽枝特有の生理機能・形態が高い成長速度を支持しているかどうかを検証することにより、樹木の萌芽再生メカニズムから萌芽更新の実現可能性を説明することを目的とした。 潜伏芽の調査では、コナラおよびアベマキを対象に地上部の伐採後の切り株および伐採しなかった母樹の同部位(切り株に相当する部位)を採取した。サンプルを乾燥させた後、マイクロフォーカスX線CTを用いて断層画像を取得した。 両樹種で母樹および伐採後の切り株でフェノロジーを調査したところ、コナラでは切り株からの潜伏芽の開芽が母樹の開芽よりも1週間遅れたのに対し、アベマキでは母樹と切り株で開芽のタイミングが同調した。一部の個体では夏に最大光合成速度を測定するとともに、養分分析のために季節ごとに掘り取りを行った。 また、更新環境として重要である光条件に対する機能形質の種特異性を明らかにするため、異なる光条件下で育苗したコナラおよびアベマキを対象に、光合成特性や水利用効率等の葉の生理機能や養分状態、形態の測定を行った。その結果、アベマキは光環境に応じて葉の生理機能と形態の両方が変化するのに対し、コナラは葉の形態のみが変化することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、初年度に潜伏芽を解析するためのサンプルの採取とX線CTの撮像を完了するとともに、萌芽枝および母樹の萌芽更新調査および生理機能測定を実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、計画通り、CT画像から潜伏芽の調査を行うための解析法を確立するとともに、萌芽枝の生理機能特性の測定を継続・解析する。
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Causes of Carryover |
樹木用サイクロメーターの納入価格の高騰や、マイクロフォーカスX線CTのサンプルあたりの撮像単価の減少等により、当初の支出見積もりから差額が生じた。繰越金は、次年度のX線CTの追加撮像に充てる予定である。
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