2023 Fiscal Year Research-status Report
Does the plant defense response promote the establishment of post-fertilization isolation among wild cherry species?
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23K05308
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Research Institution | Forest Research and Management Organization |
Principal Investigator |
鶴田 燃海 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (90809740)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 雑種崩壊 / 植物防御反応 / サクラ属 / 遺伝子発現解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
雑種崩壊の程度を定量可能なマーカーを明らかにすることを目的に、人工交配および野生個体群から種子を採取して実生を育成し、生育不全(=雑種崩壊)の実生において特徴的な発現遺伝子の探索を行なった。 所内に植栽された雑種のサクラと、オオシマザクラ、ヤマザクラ、エドヒガンを人工交配することで(合計123花)、71個の種子を得た。加えて、栃木県日光市の国有林に生育する雑種と判定された個体(TK04およびTK09)より種子を採取した(60個)。これらの種子を低温湿層で3ヶ月以上保存した後、バーミキュライトの苗床に播種し、実生を得た。大部分の実生は健全な成長を示したが、一部、成長の遅い個体、途中死、未発芽のものが見られた。発芽したすべての実生から、遺伝子発現解析用に葉を採取し、RNAを抽出した。 これらの実生のうち、健全、生育の遅い個体(弱勢)、発芽後にほとんど成長の見られない個体(生育不全)それぞれ3個体ほどの発現遺伝子を、RNA-seqにより網羅的に調べた。健全な実生と比較することで、弱勢および生育不全の実生における発現変動遺伝子(DEG)を探索した。同定されたDEGの機能をBLASTおよびgene onthology(GO)から推定するとともに、enrichment解析を行うことで、弱勢、生育不全どちらの実生においても、活性酸素除去などに加えて病原体応答など植物の防御反応に関連した遺伝子が共通して高発現していたことを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画通りに様々な雑種実生を得ることができた。一方で、育児のための休暇を取得したことで、解析等に遅れが生じた。近々、新たに国内のサクラ属野生種でゲノムが公開される予定であり、これが利用できれば進捗の遅れを取り戻せる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
・得られた雑種実生において防御関連遺伝子の発現量をqPCRで定量し、雑種実生の形態と関連した発現をする遺伝子・マーカーを同定する。 ・追加の雑種を交配親とした人工交配を行う。 ・複数のサクラ属野生種が生育する自然個体群から、1母樹あたり50個を目安に8母樹以上から種子を採取し、実生を育成する。
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Causes of Carryover |
育児等による研究の中断があったため、予定していた発現遺伝子解析を十分にこなすことができなかった。すでにRNA抽出済みのサンプルを用いてRNA-seqを外注し、追加の解析を行うことを予定している。
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